医療機関と介護保険
40歳になった時、突然、給与明細から介護保険料が引かれ始めました。その時は「あ~。私も40歳になったんだ。中年の仲間入りだな。」と少しショックでした。
医療機関で働き始めたのも丁度その時期。窓口で受付業務をしていると、保険証提示を求めると、保険証と一緒に介護保険証を提示されることの多いこと。多いこと。後期高齢者証と大きさも同じですし、間違うのは当然ですが、内容の違いを把握している人も少ないのかもしれません。
今日は、医療現場における介護保険について少し勉強してみたいと思います。
介護保険の概要
難しいことは省きます。
介護保険とは40歳以上になったらみんなでお金を出し合って、そのお金で介護の必要な65歳以上の人(特定疾病の方で40歳以上65歳未満の方も含む)を支える介護の仕組みです。
介護の必要な方には段階があって、それを要介護度で7つの段階に分けています。要支援1、2、要介護1、2、3、4、5と介護度が上に上がれば上がるほど、自分で出来ることが減って(自立度)、介護が必要になるということです。
介護度が上がれば、それに伴って利用できるサービスが増えたり、入所できる施設も変わってきます。その時にかかる費用を医療保険のように介護保険で負担しましょう。という制度です。
基本的に医療と介護は違い、医療には医療保険、介護には介護保険が使われるということです。ですので、当然ですが医療機関で介護保険証は必要ありません。
介護施設からの受診者
「なんだ、介護保険のことは、医療事務には関係ないな。じゃあ知らなくてもいいや。」そんな風に私も最初は思っていました。しかし、医療事務に係っていると、どうも介護保険のことが理解出来ていないと、困ることもあるんです。
例えば、患者様が持って来られる主治医意見書。
これは介護保険の審査の際に必要になる、主治医が記載する書類です。医療事務でも必ず目にする書類ですよね。中身を代理記載したり、点検したり、請求したり、送付したり。これを基に介護認定審査会が開かれ、介護度が決まります。
最近は様々な介護施設が出来て、自宅からではなく、介護施設から受診に訪れる人も増えてきました。介護が必要な方は、ご家族が連れて来られる場合もありますが、最近では施設の方が一緒に同伴される場合も多くなってきて患者様の様子は施設の方から伺う方がよくわかるぐらいです。施設によっては医療保険を使えない場合もあり(医師が常駐しているような介護老人保健施設等)、注意が必要です。介護老人保健施設によっては、一旦一時退所扱いで、医療保険で受診なんてこともあります。
(新設)在医総管 包括的支援加算(150点)
これは、診療報酬改定で定められた新設の加算ですが、「月2回以上訪問診療を行っている場合(別に定める状態の患者を除く)」「月1回訪問診療を行っている場合」を算定する場合において、要介護2以上に該当する等一定の状態の患者に対して、所定点数に加算する。
このように要介護状態で取れる医療点数が違ってくる場合もあります。
このように様々な医療事務で、介護の知識は必要になってくるのです。
近隣の介護施設について
近隣の市町村の介護施設について、どういうサービスを行っている施設なのか、知っておくことをお勧めします。
- 介護老人福祉施設(「老人保健法」に基づく、要介護3以上の方)
- 介護老人保健施設(介護保険法」に基づく 病状安定期で医療機関と家庭の中間)
- 介護療養型医療施設(医療法」に基づく、急性疾患の回復期)
- 小規模多機能型居宅介護(通所、訪問、宿泊など1つの事業所が行う)などなど。
よく診察に来られる患者様の施設について、知っておくと必ず医療事務にも役立つと思います。自分の家族に介護が必要になった時も、参考になりますしね。
まとめ

私には91歳になる父がいます。幸か不幸か未だ介護保険を受けることが出来ず(健康なので)、母亡き後、サービス付き高齢者向け住宅で独り暮らしをしています。嫁ぎ先の同居の義父母も二人とも後期高齢者です。私の家族にも、介護保険は、すぐにもで必要となる課題。介護の知識は、しっかり勉強しておく必要がありそうです。
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