医療業界に勤めてから10年が経過しました。今でこそ、わかりきったように使っていますが、最初は医療用語に慣れなくて苦労したものです。でも今でも実はわかってないのに、わかったように使っている言葉って結構あります。以下は私が最初全く知らなかった用語一覧です。
この医療用語わかりますか?
亜急性期
病状がある程度安定した患者で、急性期の最終段階の病状期。病院によっては亜急性期病棟があり、診療報酬の算定の仕方も変わります。(最初私は、恐竜が住んでいたころの白亜紀とかジュラ紀とかの仲間だと思っていました(/ω\)
ADL
日常生活動作のことです。(Activities of Daily Living)具体的には食事や、移動、排泄など基本的な動作をいいます。(医師や看護師等の会話の中で「患者のADLは・・・」なんて日常的に使われています)
一般名処方
医師が薬を処方するときに薬の商品名ではなく、成分名で記載すること。(例:ガスターは商品名、ファモチジンが成分名)
医療機関コード
レセプトや診療報酬請求書に使用する医療機関のコード。都市区分番号2桁、医療機関番号4桁、検証番号1桁の7桁からなっています。(自分の病院の医療機関コード言えますか?)
医療費控除
本人、又は本人と生計を共にする親族の病気やけがに対して支払いを行った1年間(1月~12月)の医療費の合計が10万円を超える場合、確定申告によって税金の還付を受けることができるもの。(私も以前、子供の矯正歯科で50万の医療費を払った時に、この制度を利用しました。)
インアクティブカルテ
通院、退院終了後で相当日数を経過したカルテ。現在は来院していないため、保管庫等に保管されているもの。(最初の私の仕事が、医師からの依頼があるとインアクティブのカルテを古いカルテ庫から探してもってくることでした。走ってよく取りに行ったなあ~)
インシデント
日常の診療現場で患者に傷害を及ぼすには至らなかったものの医療事故に発展する可能性をもった出来事。「ヒヤリハット」➡ひやっとしたり、はっとしたりした出来事 も日常的に使われます。(インシデント、ヒヤリハットを起こすと、文書で院長に提出する必要があるのですが、これ書くと落ち込みます)
オーダリングシステム
医療従事者がそれぞれの部署で発生した注文データを直接入力する病院内情報システム。(オーダリングになる前は、紙伝票で各部署から医事課に回ってきました。それを入力するのが手間だったこと。今では随分楽になりました。)
介護保険
要介護状態の高齢者に対して、医療・福祉のサービスを提供する社会保険制度。(40歳以上になると給与から天引きされる保険料です。介護保険を初めて引かれた時は、なんだか年を取った気になったものです。)
過誤調整
国保や社保で一度審査されたレセプトが、保険者の再請求により減点されること。(ちなみに国保や社保で減点される場合は「当月査定」といいます。)
過誤返戻
国保や社保で一度審査されたレセプトが保険者から戻されること。上記の過誤調整と違うことは、減点されるのではなく、戻されるだけなので、再提出すれば認められます。氏名や生年月日の不一致、資格喪失後の受診などが返戻される場合が多いです。(ちなみに国保や社保で返戻される場合は「当月返戻」といいます。)
カルテ開示
カルテや検査記録など、患者やその家族からの求めに応じて開示すること。(カルテ開示用の用紙、病院に備え付けてありますか?)
看護必要度
入院患者が必要とする看護の量。入院患者の病態や治療状況などに左右されます。それを看護に要する時間によって測定し、必要度としてポイント化することです。
カンファレンス
患者の治療方法について関係者が集まって会議すること。
逆紹介
急性期の治療を終えた患者を地域の診療所などに紹介すること。紹介元の医療機関に患者を戻すことを言います。(紹介状でやりとりとします。地域医療室などで管理します。)
禁忌
治療で投与した場合に症状の増悪を来す薬物や医療行為。(カルテに禁忌項目は、誰にでもすぐ目につくように記載しておきます。)
ケアプラン
介護サービスの利用計画。ケアマネジャー(介護支援専門員)が介護保険利用者のニーズに応えてサービスの内容を計画したものです。ケアする(care)➡気に掛ける 介護・医療の現場でよく使われる用語です。
現物給付
医療の現物は、医療行為つまり、診察を受ける行為、診察・投薬・注射等のことです。
高額療養費
健康保険で自己負担額がある一定の限度額を超えた場合、超えた分が申請により支給される制度です。75歳以上では高額医療費と言います。
後発品
ジェネリック医薬品のこと。用法、用量、効能、効果などが同じ医薬品のことです。先発品の特許期間が終了後に承認されます。
コ・メディカル
医療関係者で医師以外の医療従事者の総称。看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、放射線技師などを指します。(ちなみに医療事務もコメディカルだと私は思っていますが、国家資格ではないのでもっと格下かも。)
混合診療
同一医療機関、同一患者、同一疾患治療において、保険診療と自由診療が混在すること。
査定
国保・社保が医療機関の診療報酬請求に対して、審査し、増減点すること。医療機関は査定内容に不満があれば再請求できます。
サマリー
入院患者の治療内容や経過を要約したもの。退院時に作成されるものを退院時サマリーといいます。
産業医
労働者の健康管理などを行うために選出された医師。
社会的入院
入院治療の必要性よりも家族に介護者がいないなど社会的な理由によって入院している状態。
縦覧点検
同一人物の複数のレセプトを突き合わせて、不適切な請求がないか調べる方法。3か月以上のレセプトを突き合わせて重複請求などがないか調べます。
診療実日数
実際に診察した日数。実際に医師による診察を行った日数で、検査のみ、点滴のみではカウントしません。
診療報酬明細書
レセプトのこと。(最初はこんな言葉もわかりませんでした。)
診療報酬請求書
レセプトをもとに診療報酬を請求する際に用いる書類。
成年後見制度
判断能力の不十分な成年者を保護するための制度。(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等です)
セカンドオピニオン
患者が治療方法を選択する上で、参考にするために現在かかっている医師とは別の医師に診察を受けて、治療について意見を聞く事。(診療情報提供書Ⅱ)
前期高齢者
一般に65歳以上75歳未満の高齢者。75歳以上を後期高齢者といいます。
専従
その業務だけに従事する業務形態のこと。他の業務との兼任は認められません。ちなみに専任は、他の業務との兼任も認められます。
総括
診療行為を診療報酬点数表に基づいて点数化し、まとめて総計すること。
増減点連絡書
国保・社保など審査支払機関が、レセプトの点検・審査を行った結果、診療報数の増減を医療機関へ通知する文書のこと。
対診
他の医師が診察に立ち会うこと。または診察の結果を鑑定すること。
地域包括支援センター
地域の高齢者に対して、生活向上、医療の向上などの支援を包括的に担う中核機関。介護保険の相談など利用できる。
中医協
中央社会保険医療協議会の略称。診療報酬のことは全てここで審議されます。
デイサービス
要支援・要介護者がデイサービスセンター等に通い、入浴、食事、介護、生活について相談訓練などを受ける居宅サービスのこと。
デイケア
要支援・要介護者がリハビリテーション施設に通い、リハビリテーションを受ける居宅サービスのこと。
低所得者Ⅰ・Ⅱ
保険診療上の負担限度額や食事療養費などの負担額を定めた区分のひとつ。低所得者Ⅱは、同一世帯の世帯主及び被保険者が住民税非課税の者。低所得者Ⅰは、低所得者Ⅱに該当し、さらにその世帯の所得が控除後に0円になる者。
出来高払い方式
診療報酬の支払い方式の一つ。医療サービスを個々に計算し、合算するやり方。
摘要欄
診療報酬明細書に処方した薬剤や診療行為など詳細にコメントを記載する欄。
転帰
病気の経過の推移。中止や転医、死亡、治癒など診療状況を記載するもの。
トリアージ
災害発生時など多数の傷病者が同時に発生した場合に限られた医療機能のなかで傷病者の重症度や緊急度に応じて治療優先順位を決めること。
任意継続
健康保険の被保険者が退職等で資格を失った時、希望によって、被保険者として継続することが出来る制度。期間は2年間。
寝たきり老人
傷病により、常時あるいは日常の大半を床についている状態で、生活介護を必要とする老人のこと。
ヒヤリハット
医療現場で自己に至らなかったものの「ひやり」とした事例や「はっ」とした事例を報告すること。
訪問看護ステーション
訪問サービスを提供する事業者。主治医の指示に基づき、看護師、保健師理学療法士等が訪問して看護ケアを行う。
未収金
患者に対して請求した医療費のうち、期日までに回収されていない費用。
療養費払い制度
被保険者が受診した医療機関で診療費の全額を一旦支払、後に保険者に申請して払い戻しを受ける制度。
暦月、暦週
暦月は、毎月1日から末日まで。暦週は、日曜日から土曜日まで。
レセプト病名
レセプトに記載された病名。本来の病名ではなく、保険請求上必要な病名。
まとめ

今では、普通に使っている用語ばかりですが、最初はわからない言葉ばかりで戸惑ったものです。わかっているつもりでもこうして見てみると、案外適当に憶えていて分かったふりをしているだけのものもあったりして。たまには、基本に帰ることって大切ですね。
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