問診のタイミング
みなさんの病院では、問診を誰がどのタイミングで聞いていますか?
「病気の問診なんだから、当然看護師でしょ。」
「いえいえ、受付に来たとき一番に対応するのは事務なんだから、事務じゃない?」
「うちは診察室で、医師が直接色々聞くわねえ。」
など、色々なパターンが考えられますよね。
医療機関の規模やスタッフの人数、院長・事務局の考え方でやり方が違って当然です。今日は当院での例を挙げながら、問診でどこまで内容を掘り下げて聞くのがいいのか、考えてみます。
当院の場合 パターン1
まず最初に患者様がドアを開け、入ってくるのを迎えるのは、事務スタッフです。
受付スタッフ:「おはようございます(こんにちは)。どうなされましたか?」(お決まりのこの台詞で患者様をお迎えします。)
患者1:「いやあ、昨日から熱が出てね~。」
患者2:「下痢が続いて、ご飯が食べれないんだよ。」
受付スタッフ:「そうですか。それは大変でしたね。いつからですか?」
(簡単に症状を聞いて、メモし、問診担当の看護師に詳しい問診を依頼します。)
その後、看護師が詳しく症状を聞き、診察室へ回します。
パターン2
普段、当院に通院されている患者様が、定期再診日にではなく、調子を崩して診察を受けに来られる場合もあります。そういう時は次のような手順を踏みます。
受付スタッフ:「こんにちは、今日はいつもの診察ですか?どうなさいましたか?」
患者3:「今朝から急にめまいがして。」
患者4:「この前もらった薬を飲んだら吐き気がしたので。」
受付スタッフ:「そうですか。では診察の順番をお取りしますね。」
こういう場合は、既に通院中の患者様の訴えなので、簡単なメモを添えて、カルテを診察室に回します。
パターン3
診療科を間違えて来院の患者様。病院なら何でも診てもらえると思っている患者様。小さな子供なのに普通の内科を受診する患者様。 (内科を標榜とするクリニックへの受診の場合)
受付スタッフ:「おはようございます。(こんにちは)今日はどうなさいましたか?」
患者5:「昨日、仕事中に屋根から落ちて頭と腰を打ったんだけど。」
受付スタッフ:「頭を打たれたのなら、脳外科へ受診した方がよさそうですね。腰も打たれているのなら、整形外科への受診も必要でしょう。両方診てもらえる病院を受診した方がいいですよ。」
患者6:「うちの孫、5歳なんだけど、昨日から熱があって。」
受付スタッフ:「少々お待ち下さい。院長に尋ねて参ります。」(院長に打診する。体重が大人に近い高学年の子なら診察します。それより小さいお子様は小児科へ行ってもらって下さい。)
受付スタッフ:「申し訳ございません。院長に確認しましたところ、やはりお孫さんはまだ5歳ですし、小児科を受診された方がよろしいようです。」
診察前に問診で聞くべきこと
問診を診察前にきちんととったかどうかで、診察の効率は大幅に違ってきます。問診を取ったら、それをカルテに記載します。
- いつから、どんな症状が出ているのか。
- 血圧・脈拍・体温測定
- 普段のかかりつけ医や定期処方薬はあるのか。
- 今まで何か大きな病気や手術等をしたことがあるか。
- 薬や食べ物でアレルギーを持っていないか。あればその内容。
- 女性の場合(妊娠の有無、可能性の有無、授乳の有無)
- 男性の場合(前立腺肥大の有無)
- 緑内障はあるか
- 家族歴(家族の病気について)
- 飲酒・喫煙状況
- ジェネリック薬を希望するか問診で聞くべきこと
まとめ
問診の段階で十分患者の状態を把握できると、診察室でのスピードが上がるだけでなく、医療事故から患者を守ることが出来ます。例えば、女性が妊娠している場合、レントゲンや薬によっては胎児に影響を与えてしまいます。また、緑内障の患者にPL等の風邪薬は禁忌です。かかりつけ医がある場合、定期的に服用している薬が、今回出す薬とミスマッチするかもしれません。診療科によって問診の内容も変わってきます。問診は患者と医師をつなぐ最初の大きな一歩です。
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