労働時間について
「最近、残業代ってちゃんとついてるんですかねえ?なんだか給料安くって。」
「院長都合の休診って、休日扱いになってるんでしょうか。」
「午前診察の残業と、午後診察の残業って、同じ掛け率なんですかねえ?時間が遅い方が大変なのに。」
などなど、最近しばしばスタッフ間で労働時間について話題に上がります。各々、院長に尋ねたりしているのですが、どうもこちらが納得いくほどの答えが返ってこない。というのが実情。労働時間の話って難しいですし、「社労士さんに任せてあるから、間違いないよ、うるさいなあ~」との雰囲気を醸し出すので、あまり根掘り葉掘り聞けないというのが実情です。
大学時代の友人である社労士の友達の助けも借りて、自分の労働時間について調べてみました。
医療機関は変形労働制が多い?
就業規則をチェックしてみると、どうも当院は「1か月単位の変形労働制」を採用しているようです。週平均40時間で、診察時間に応じて各曜日の労働時間も違うことがわかりました。
医療機関の場合、レセプトなどの関係もあり、月内の労働時間に偏りがありますし、変形労働制を採用しているところが多いようです。
特に驚いたのが、当番制で出勤していた木曜日が(木曜日のみ完全予約制を導入しており、業務が少なく、スタッフ全員出勤の必要がないため)、実は正規の労働時間に充てられていること。要するに出勤のない木曜日の週は、実労働時間が少ない=その週に残業をしても、実労働40時間に満たないため、残業代がつかない!ということでした。
どうもこの「変形労働制」とやらは、労働者より経営者の利点の方が多いのでは???
少しその内容について調べてみることにしました。
変形労働時間制とは
変形労働時間制とは、労使協定または就業規則等において定めることにより、一定時間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
1日単位(8時間)、1週単位(40時間)の規制によらない弾力的な労働時間の配分を認める制度です。業務の性格上、繁忙期と閑散期の場合や勤務制によるシフト勤務の場合などに利用されます。
変形労働時間制は労基法の定める一定の要件のもとに認められるもので、具体的には次の制度があります。
- 1か月単位の変形労働時間制(労基法32条の2)
- 1年単位の変形労働時間制(労基法第32条の4)
- 1週間単位の非定型的変形労働時間制(労基法第32条の5)
1か月単位の変形労働時間制とは
1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内の一定の期間を平均し、1週間の労働時間が40時間以下の範囲内において、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
1か月単位の変形労働時間制の総労働時間は「1週間の法定労働時間×変形期間の暦日数÷7」で計算されます。
(1か月の暦日数)
- 31日の場合:労働時間の総枠(177.1時間)
- 30日の場合:〃(171.4時間)
- 29日の場合:〃(165.7時間)
- 28日の場合:〃(160.0時間)
時間外労働の求め方
変形労働時間制の場合、重要になるのは次の3つの時間です。
- 1日の所定労働時間
- 1週の所定労働時間
- 変形期間(当院では1か月)の所定労働時間
要するに、実労働時間が、この3つの条件を超えた時のみ、時間外労働手当となります。
今日は残業を沢山したから、単純に時間外労働が発生するのではなく、その日の所定労働時間を超えているか、1週の所定労働時間を超えているか、そこをチェックする必要があるようです。
まとめ
曜日によって、それぞれ違う所定労働時間を定めている当院の場合、残業時間=時間外勤務手当にはならないので、厳密に時間外労働手当を求めようとすると、随分難しくなりそうです。自分の時間外勤務手当が正しくつけられているのかどうか、突き止めていくには、毎日の勤務時間を記録し、厳密に計算していく必要があります。
さてそこまでする元気が今の自分にあるかどうか。
勤務時間を記録するアプリも多数あるよう。まずは、勤務先のタイムカードを押すだけではなく、自分で記録を取ってみましょうか。