地域医療室と診療所
診療所の医療で一番大切な役目は、地域住民のかかりつけ医になることです。病院とは違って、午前も午後も土曜日も診てもらえて、夜間や日曜日も診てもらえるところもあります。予約がなくても飛び込んでいけて、気軽に話が出来ることが町医者の良さ。地域住民の安心のための強い見方です。
一方、診療所の弱みは詳しい検査が出来ないところ。各診療科によって専門も違いますし、スクリーニング的な検査のみでは患者の病態がつかめません。精密検査が必要な場合、専門的な治療が必要な場合は、どこか大きな病院に紹介することが必要になってきます。
病院に紹介するときまず必要なのは、紹介状ですね。医師が患者の状態を記載し、病院に診療を依頼する手紙のことです。病院によっては、予約が必要なところも多く、診療所が病院に紹介するときは、まず病院の地域医療室に連絡を取る必要があります。
地域医療室って?
病院によって言い方は違いますが、病院には「地域医療室」又は「地域医療連携室」などと呼ばれる部門が必ずあります。地域医療室って、一体どんなことをしているのでしょうか。
- 他の医療機関との連絡役で、他院からの依頼の診察予約や検査の予約を取る
- 紹介状の受取、返信を管理したり、紹介率などの統計を取る
- 他の医療機関からの入院受入調整をする
- 退院後の生活相談、転院先の調整などをする
実は私も病院勤務をしていたころ、この地域医療室に一時期配属されたことがあります。医療事務の知識はほとんどいりませんが、先生や検査室、病棟などに紹介患者を受け入れてよいか、いつが空いているかなど、病院と他の医療機関とのパイプ役の仕事で、幅広い知識と、広い人脈が必要な仕事です。いつもピッチ(内線電話)を持ち歩いていて、他の医療機関から連絡が来ると、その調整のために、各部署、医師の元へ駆けつけ、またその答えを各医療機関へ連絡するために、地域医療室に戻ってファックスや電話をする。1日中、走り回っているような生活でした。
そんな経験があるので、今度は予約を取ってもらう側として、なるべく穏便に予約を取ってもらえるよう、必要事項を手早く、そして丁寧な口調で伝えるようにしています。
地域医療室に予約を依頼する
病院の地域医療室に診察や検査の依頼をするときは、各病院によってやり方が若干違います。各病院のホームページまたは電話などで問い合わせをして、どういう風に予約を取ればいいのか、把握しておく必要があります。
- 病院の診療時間、診療科の曜日
- 予約の取り方(電話なのか、ファックスなのか、インターネットなのか)
- 病院が必要な患者情報(氏名、年齢、住所、以前にかかったことがあるか、既往歴等)
よく紹介する病院一覧を作って、予約、紹介の仕方などをすぐわかるところにまとめておくと役に立ちます。
最も必要なことは、よく紹介する先の地域医療室とは仲良くなっておくことです。仲良くといっても実際に会って話をするわけではありませんが、電話対応などを丁寧にし、感じの良さをアピールできれば、次からの予約時には、優遇してくれるかもしれませんしね。
地域医療室もネット予約
最近、近所の病院の予約システムが変わりました。近隣の診療所にはそれぞれIDを発行し、IDがある診療所は、自由にインターネットから診察、又は検査の予約が取れるようになったのです。インターネットですので24時間利用が出来ますし、インターネットでぽちっと押すだけなので、あっという間に予約が取れてしまいます。土曜日など診療所はやっているけど、病院は休みで予約が取れないなどということももう無くなり、患者さんにもお待たせすることなく、病院の予約が取れるようになり好評です。これまでは、診察が終わったあと、病院の地域医療室から予約票がファックスで送られてくるまで、長時間患者様を待たせていたのでね。
まとめ

今日は地域医療室の主に予約について書きましたが、他にも退院調整時など診療所と地域医療室が連絡を取り合うことも多くあります。地域医療室のスタッフはその病院のパイプ役として、非常に重要な役目があり、周辺の診療所にとってはとても大切な存在です。医療事務の仕事というと、すぐに算定やレセプトなどを思い浮かべますが、地域医療室の事務、ドクターの片腕となるドクタークラーク、医療秘書等。医療事務は非常に幅広い仕事です。
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