リーダーの性格を見抜く
私のお仕えする医師は、明るく温厚な性格です。当院はクリニックですので、医師=経営者です。私たちスタッフとは、リーダーと部下という間柄です。温厚な性格なら、仕事もしやすかろうと思われるかもしれません。
しかし、温厚=仕事がしやすい。とは限りません。温厚が故に、指示がストレートでなく(遠回しに言ってくる、はっきりしない)、分かりにくい一面もあります。私たち部下は、医師の気持ちを汲み取って業務を遂行する必要があります。
先日もこんなことがありました。最近、医師事務作業補助者の仕事を覚え始めた後輩が、診察の現場で薬の入力を間違えたそうです。医師はすぐにその間違えに気付いたようですが、後輩は最後まで間違えたことに気付きませんでした。
その場で、医師が「入力間違えているよ。注意深く入力して。」と注意すればよかったものを、この医師はあとからこっそり先輩である私に言ってきました。
「困るんだよね。○○さん、注意深く入力しないところがあって、薬の入力を間違えることがあってね・・・」
「わかりました。私から注意しておきます。」
一事が万事そんな調子で、決して自分では注意しないのです。その場で指摘された方が、後輩もわかりやすいでしょうに、「先生がその場で言って下さった方が効果的ですよ。」とやんわり返しても笑ってごまかすばかりです。
「グリッド理論」
テキサス大学教授であり、経営コンサルタントのR・ブレイク博士、J・ムートン博士が考案した「グリッド理論」を勉強すると、リーダーとの関係性をよりよく理解することが出来ます。
ブレイク&ムートン博士は、リーダーになったとき、誰しもが「人への関心=人間関係への関心度)」と「仕事の結果への関心(=成果への関心度)」の2つに興味をもつことに着眼しました。その興味の度合いは個々に異なり、9段階で測定すると81通りに分かれますが、大方が以下の5つのタイプのどれかに当てはまることに気付きました。
貴方のリーダーはどのタイプ?
①9・1タイプ(独裁的指導)・・・ヒットラー型とも言われるタイプ。メンバーの都合より仕事の結果を最優先に能率を上げようと考えます。仕事に対して責任感が強く、少しのミスでも厳重に注意します。ミスをしたメンバーに反省の言葉と解決策を求めます。
(対策)ミスをした場合は「すみません」だけではなく、それに応じた対策をとることを伝えるといいです。
②1・9タイプ(民主的指導)・・・メンバーに受け入れてもらいたいと思い、友好的関係ができれば成果があがると考えています。そのため、注意ができないタイプです。フレンドリーですがメンバーに嫌われたくないとの思いが強いタイプ。ミスやトラブルにつながるのではと気になっていても注意することが出来ません。
(対策)「改善点などのご意見を頂ければありがたいのですが・・・」とこちらから注意すべきことをリクエストします。注意してくれたときは「ご指摘ありがとうございます」と注意しやすい雰囲気にします。
③1・1タイプ(放任的指導)・・・指導は特にせず、放任します。責任を回避する傾向があり、ほどほどの成果でよいと考えています。このタイプのリーダーに指示を仰ぐことは出来ません。一方メンバーに自由を与えてくれます。
(対策)自由にさせてくれるので、自らの積極性で業務をこなしていくことができます。
④5・5タイプ(妥協的指導)・・・常識の範囲内で成果もほどほど、メンバーとの関係もほどほどに取り組みます。なんでも「ほどほど」なので、メンバーが熱心に問題解決を図ろうとすると混乱を生じます。
(対策)妥協しないことです。自分がやりたいことを明確にし、努力します。
⑤9・9タイプ(運命共同体)・・・指示するときもその必要性を説明し、メンバーの自立性を尊重します。成果は個人の目標との統合によって達成されると考えています。このタイプはメンバーの事情にも耳を貸す余裕があり、一緒に解決策を考えてくれます。リーダーに答えを求めると、逆に「どうすればいいと思う?」などと切り返されます。
(対策)問題点や事実関係を明確にしてから、相談をするといいです。
まとめ

私のリーダー(ドクター)は間違いなく、②の1・9タイプ(民主的指導)です。悪者になりたくないので、直接、注意が出来ないタイプです。彼には、「ご指摘ありがとうございます。改善点などをご意見いただければありがたいです。」と言ってみると良さそうです。
そういう私自信も1・9タイプ。仕事をする上では、スタッフとの友好関係が一番と考えています。