この仕事に就き始めた頃、在宅療養指導管理料がとにかく苦手でした。舌を噛みそうな長い漢字の羅列の管理料たち。どれもこれも似たような名前で、何が何だかわからない!というのが最初の印象です。
一体どの状態になったら「在宅寝たきり?」とか。
「在宅酸素」と「在宅人工呼吸」って何がどう違うの?とか。
「在宅人工呼吸」なんてすごく大変そうな名前なのに、どうしてその患者様は普通に外来受診出来るのかしら?とか。
今日は在宅の状態について簡単にまとめてみました。
退院前在宅療養指導管理料
退院し、家での静養を予定している患者様(入院中)が、家や施設で支障なく過ごせるかどうかをみるために、一時的に外泊をすることがあります。そのあと、外泊をしてから自宅に退院した場合に、取れる管理料です。退院後の家での過ごし方を指導する必要があります。入院中1回限りの算定です。
在宅自己注射指導管理料
糖尿病、血友病などの患者様でインスリン治療が必要な患者様に、インスリンを自分で注射するためのやり方を説明したり、指導したりした場合に算定出来る管理料です。注射をする人は患者本人でなく、家族や訪問看護師であっても取ることが出来ます。
在宅小児低血糖症患者指導管理料
12歳未満の小児で低血糖症の患者様に低血糖予防のための指導を適切に行った時に取れる管理料です。対象は、服薬をしているか、手術・経管栄養などを行っているか、終了後6か月以内の患者に会議られています。
在宅妊娠当尿病患者指導管理料
妊娠中の糖尿病患者に対して、血糖自己測定を含む療養上の指導を行った時に算定できます。対象となるのは、妊娠中の糖尿病患者であって周産期における危険が高いもので、自己血糖測定を行うことが条件です。現在インスリン注射を行っていなくても算定できます。
在宅自己腹膜灌流指導管理料
慢性腎不全で体液調整機能が出来なくなり、尿毒症物質が体内に蓄積されるようになり、そのため血液浄化療法が必要となった患者に指導を行う管理料です。
血液浄化療法には、人工腎臓による血液透析と、腹膜灌流という方法があります。
在宅血液透析指導管理料
血液透析は血液を対外に取り出し、人工腎臓装置で血液をきれいにし、体内に戻す方法です。患者・家族への指導や管理全般について算定する指導料です。
在宅酸素療法指導管理料
在宅酸素とは、慢性呼吸不全など酸素不足が生じている患者に、自宅等に酸素の装置を貸出、それによって呼吸を楽にする療法です。外出時には携帯酸素ボンベで対応も出来、その使い方なども含めて指導した時に算定できます。
在宅中心静脈栄養法指導管理料
口から栄養が摂れない患者に中心静脈(心臓に近い大動脈)に挿入したカテーテルを経由して高カロリー輸液を行う方法で、IVHと呼ばれます。大動脈のカテーテルなので方法、注意点、緊急時の措置など指導した時に取れる管理料です。
在宅成分栄養経管栄養法指導管理料
通常の口からの栄養が摂取できない患者に対して、腸管を経由して栄養を与える治療を経管栄養法と言います。胃ろう、食道ろうなどと呼ばれます。方法や注意点、緊急時の措置などを説明した時に取れる管理料です。現在薬品として扱われている人工栄養剤のうちエレンタール、エレンタールP、ツインラインの3種類だけが在宅成分栄養経管栄養法指導管理料を算定できます。
在宅小児経管栄養法指導管理料
在宅小児経管栄養法を行っている患者に対し、指導管理を行った場合に算定します。小児の経管栄養法に限って、成分栄養薬品以外であっても経管栄養指導管理料が算定できます。対象となるのは、15歳未満の小児患者、および経管栄養法継続のままで15歳以上になった者のうち体重20㎏未満に者です。
在宅自己導尿指導管理料
自然排尿が困難な患者について在宅で自分で排尿する方法を指導する管理料です。体内にカテーテルを常時留置したり、時々カテーテルを挿入して導尿したり、腹壁に増設した瘻孔に採尿パックを当てたりなどの方法があります。そのための指導を行った時に算定出来ます。
在宅人工呼吸指導管理料
人工呼吸器が随時必要か、時々使用した方が安定する患者に自宅等でできる人工呼吸療法を指導した場合に算定します。人工呼吸器は医療機関から患者に貸し出します。気道切開をし、人工呼吸器につなぐ場合や、鼻マスクを装着して行う方法などがあります。使用装置の内容を説明し、夜間・緊急時の対応等を指導した場合に算定します。
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
睡眠時無呼吸症候群の患者に夜間、呼吸をしやすくするために設置する機械を貸出、その使い方や状態を指導すると、この管理料が算定できます。
在宅悪性腫瘍等患者指導管理料
自宅等で痛みを和らげる治療又は、悪性腫瘍の化学療養を行っている末期の患者に対して、指導管理を行った場合に算定できます。
在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料
他の医療機関で上の在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定して指導を受けている患者に対して、他の医療機関と連携して同一日に悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法に関する指導管理を行った場合に算定出来ます。
在宅寝たきり患者処置指導管理料
自宅等で創傷処置や膀胱洗浄、導尿、鼻腔栄養などの処置を行っている寝たきり(寝たきりに近い状態も可)患者に対し、指導管理を行った場合に算定します。
在宅自己疼痛管理指導管理料
耐えがたい慢性的疼痛に対する治療法を行っている患者に対し、植込み型脳・脊髄刺激装置を植込み、その指導を行った場合に算定出来ます。
在宅振戦等刺激装置治療指導管理料
本態性振戦等の治療で植込み型脳・脊髄刺激装置を植え込んだ後に在宅において管理を行っている患者に対して指導をしたときに算定出来ます。
在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料
てんかん治療のため、植込み型迷走神経刺激装置を植え込んだ後に、在宅においててんかん管理を行っている患者に対して、指導管理を行った時に算定します。
在宅仙骨神経刺激療法指導管理料
便失禁のコントロールのために植込み型仙骨神経刺激装置を植え込んだ後に、便失禁管理を行っている患者に対し、家での注意点などを指導した時に取れる管理料です。
在宅肺高血圧症患者指導管理料
肺高血圧法患者に対し、プロスタグランジンI₂製剤に関する管理をs¥行った場合に算定します。
在宅気管切開患者指導管理料
気管切開を行っている患者に対し、指導を行った場合に算定します。
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料
皮膚科又は形成外科の医師が、表皮水疱症または水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の患者に対し、皮膚の状態について指導管理を行った場合に算定します。
在宅植込型補助人工心臓(非拍動流型)指導管理料
体内植込み型補助人工心臓を使用している患者に対し、指導を行った時に取れる管理料です。
まとめ
大雑把にまとめてみましたが、在宅療法指導管理料とは、特別な疾患で治療をしている患者様が、在宅で過ごすために指導を行った時に取れる管理料のことです。指導の内容がわかったら、次の点に気を付けて算定すると良いと思います。
- 病名は?
- 月何回?
- 加算はある?
- 症状詳記は必要?
- 併算定不可な項目は?