小さな世界
診療所の人間関係はとてもとてもとても狭い。先生1人、看護師3~5人、事務3~5人。そんなものではないでしょうか。
この小さな小さな小さな社会の中に、小さな細かい怖いルールや掟が沢山あって、一度決まると二度と上下関係が覆されることない士農工商の世界。一歩間違えると戻ってくることのできない永遠の闇の世界。今日は外からは見えない診療所の闇の世界へ皆様をご案内致します。
医療事務は国家資格ではないからね~
医療業界の中では医療事務は、窓際族。医師や看護師に実はいつもどこかで蔑まされている。何故なら、医療事務は国家資格ではないから。医師も看護師も、医療事務の資格を自分たちの資格と同じにしないで!と強く思っている。実際、医療事務の資格は民間資格。何年間もかかって資格を取っている彼らにとっては、医療事務の資格なんて授業の合間にする小テストぐらいのレベル。
診療所のランクづけ
医師がトップランクだとしたら、その下が看護師、そしてもちろん最下位レベルは医療事務。この上下関係はどんなことがあろうと覆ることはない。いやむしろそれに逆らったものは、この場所には居られなくなる。院長はまずは看護師を大切にするし、看護師の機嫌は常に伺うもの。看護師に辞められたら面倒だからね。「医療事務?気に入らないやつは別にやめてもらってもいいよ。すぐに代わりを探せるし。」的なレベル。
敬語は大切
同い年、年下だからといって、気安く看護師にため口はご法度。もちろん医師にため口なんぞ、お話になりません。相手を見て言葉遣いを変えるのは、まあ社会の常識ではありますが。常に尊敬とあこがれのまなざしで、接していれば大丈夫。従順な相手には噛みつくことはありません。医療事務同志でも上下関係は大切。下剋上を狙っては、いじわるされるだけです。逆パワハラってのも最近ではありますが、長い間上に立つ主任クラスの事務員はそれなりに医師や看護師に認められている存在。どんなに仕事のできない人でもどんなにやる気のなさそうな主任でも、医師や看護師に認められている、それだけで、十分免罪符です。
新人にありがちな失敗
「さあ、今日から新人としての第一歩。さあ頑張ろう。」そうやって張り切って来る子は大歓迎。のはずですが・・・でも先輩たちは一挙手一投足を見ています。「本当にこの子、私たちとうまくやれるかしら。」仕事が出来て、先輩を立てる。そんな新人しか認めません。
- メモは取っている?
- 何回も同じことを言わせないでよ。
- 口の利き方はどう?
- おしゃべりばかりしていない?
- 出来すぎていてもかわいくないの
- 私より出来るなんて生意気
こわいこわい。女の正解は恐ろしい。生意気に思わせないよう、頑張りを見せて、先輩に気に入られること。新人ちゃんのハードルは思ったよりも高いです。
有給取りすぎないよう、残業やりすぎないよう
有給は労働者の権利です。しかし、この小さな小さな世界にあっては、有給なんてあってないようなもの。人数が少ないんだから代わりの人間なんていないんですから。一人が有給を取るときは、3人でする事務を2人でするってこと。補充なんてありません。残された事務員たちは・・・忙しいのが目に見えていますね。
- この日は予約が少ないから。大丈夫かな。
- ○○さん、確か来月の3日に休みたいって言ってたよね。今回は遠慮しなきゃ。
- 休みの申告は大分前から、「これこれこういう事情で休まなくちゃいけなくて。」たくさん言い訳をしておく必要があります。
残業も同じく、自分だけやりすぎてはいけません。そして、しなさすぎてもいけません。出る杭は打たれます。
まとめ
ちょっと大げさに書きましたが、多かれ少なかれ診療所で働いているとこのような経験をされた方がいるのではないでしょうか。私はこの小さな社会でうまく仕事をするのに一番大切なのは、医療事務力よりも人間力だと思っています。人間関係がうまくいっていないと、医療事務力さえ発揮できないからです。診療所には部署替えも異動もありません。一度押された刻印は消されることは決してありません。「人間力」。それは自分をしっかり持って、そして他人の良さを認めることの出来る人。その信念がゆるぎない人はどこに行っても上手くいくものです。
最近、面白い本を読みました。「いつも誰かに振り回される」大嶋信頼原作。森下えみこ漫画。です。
人間関係で悩んでいる人は是非手に取ってみて下さい。マンガを読んでいるだけでも面白く、人間関係が良くなる方法がわかりやすく書いてあります。私もいつもちょっと苦手だなあと思っていた人に同じ方法を試してみたところ、みるみるうちにその人のことが好きになっていきました。(これ嘘ではありません。実際に試してみると実感できますよ。)