当院のクリニックは、通常診療の他に週1回、数人のみ訪問診療を行っています。週500人近い通院患者様を一人の医師で診療しているので、訪問診療はそれがギリギリの限界というわけです。
診察時に、高齢の患者様の同伴の家族よりよくこんなことを尋ねられます。家族:「先生、うちも訪問診療してくれませんか?最近、おばあさん、病院に行きたくないって言うんですよ。」
しかし、これは✖。訪問診療をするにはいくつか条件があります。
訪問診療の条件
在宅で療養する患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者
重症度や、ADL、要介護度に関しての基準はなくその判断は主治医に任されています。
⇩
①通院による療養が困難な者って?
「少なくとも独歩で、家族・介助者等の助けを借りずに通院出来る者」
②在宅って?
・自宅で生活するもの
・高齢者住宅・特別養護老人ホームの入居者
・居宅サービス利用者
(では、対象外✖は・・・)➡医師の配置義務がある施設は基本的に対象外となる
・入院患者
・介護老人保健施設入所者
(まちがいやすい対象者)
小規模多機能型居宅介護や、看護小規模多機能型居宅介護サービス
通所サービス利用時は✖。
宿泊サービス利用時は〇。「ただし、宿泊サービス利用前30日以内に患家を訪問し、在宅患者訪問診療料又は在宅時医学総合管理料(在医総管)、施設入居時等医学総合管理料(施医総管)、在宅がん医療総合診療料を算定した医療機関の医師が診察した場合に限り、宿泊開始後30日間のみ提供できます。」
訪問診療の算定制限
1.同一建物居住者以外の場合 833点
2.同一建物居住者の場合 203点
①訪問診療の範囲は原則、当該医療機関から直線距離で16km以内に限られる
②訪問診療を実施するには、患者や家族などの署名付き同意書が必要
③原則、週3回まで
④1日に1回のみ算定
⑤医療機関の専門科に関係なく、当該患者に対して1か所の医療機関のみ算定可(在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定する場合に限り、2か所の医療機関で1日につきそれぞれ1回算定可)
⑥高齢者住宅やマンションなどの集合住宅(同一建物)に住む複数の患家の訪問診療の際は(在宅患者訪問診療料2)レセプトの摘要欄に以下を記載
⇩
・訪問診療が必要な理由
・要介護度
・認知症の日常生活自立度
・訪問診療した日
・診療人数の合計
まとめ
最初に書いたように、誰もが訪問診療を受けたいのは当然。これから高齢社会に向けて益々需要がひろがるでしょう。病院に疾病のある高齢者を連れていくのは大変ですからね。
しかし、現実の医療現場では、訪問診療を積極的に取り入れていこうとすると、通常の外来診療を狭めなくてはならない現実があります。在宅に関する、診療点数の大幅アップが図られたとすれば、その方向にシフトしていく医院も増えていくかもしれません。
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