電子カルテ
電子カルテとは「電子的に記録、保存した診療録(カルテ)」のこと。紙カルテと比べて、最大の利点は、情報をシステム上で一元管理できることです。皆さんの病院・医院ではどこの会社の電子カルテを使用していますか?私も今まで3社3種の電子カルテを経験してきました。どの電子カルテにも完璧なものはありません。得手・不得手を理解し、使いこなすことが重要です。
電子カルテには落とし穴がある
電子カルテは便利なもので、例えば当院の電子カルテの場合、医学管理料の併算定を自動で削除してくれたりします。例えば特定疾患療養管理料とてんかん指導料の併算定をした場合、自動的に点数の低い方を削除してくれます。しかし、そこが落とし穴!
落とし穴 パターン1
特定疾患療養管理料(診療所)225点が月2回算定可能➡550点/月 算定可能
てんかん指導料 250点は月1回のみ算定可能➡250点/月 算定可能
👆これから電子カルテは勝手に判断して、特定疾患療養管理料の方が点数が高く取れると思うのか、特定疾患療養管理料を優先させてしまうのです。確かに月2回受診したとすれば、特定疾患療養管理料の方が高いですが、月1回しか来ない場合は、てんかん指導料の方が高いのです。医師は、両方の病態について、指導を行っているので、本来両方の指導料を取りたいところですが、それは診療報酬上、誤りですのでどちらか一方を算定しなくてはなりません。医事ではそのことを頭にいれて、電子カルテを操作することが必要です。
落とし穴 パターン2
外来管理加算を自動計算
再診料を入力すると、+外来管理加算 +明細書発行体制加算 が自動的に上乗せされます。例えば、家族だけが来院し、診察を受けた場合、外来管理加算は非算定ですので、わざわざ削除しなくてはいけません。
落とし穴 パターン3
血液検査の入力をすると、自動的に血液採取料(静脈)25点を算定
例えば、PTだけの検査の場合など、本来血液採取(その他)を算定すべきところですので、自動算定された血液採取料(静脈)を削除し、入力しなおす必要があります。
落とし穴 パターン4電子カルテに入力する順番で点数に影響する項目がある
例えば、胸部(デジタル)レントゲン撮影の入力の際、①部位 ②電子保存 ③撮影回数と入力すると、撮影回数が反映せず、210点になります。正しくは、①部位 ②撮影回数 ③電子保存と入力すると撮影回数に反映され287点となります。
電子カルテを知り尽くす方法
①マニュアルを読む
まず最初にしなければならないのは、当然マニュアルを熟読すること。でもこれは結構大変だし面白くありません。業務の合間に分厚いマニュアルを読みこなすのは手間がかかります。
②テスト患者で遊ぶ
どの電子カルテにも業務には反映しない「テスト患者」があると思います。これを十分活用すると一気に電子カルテを理解することが出来ます。例えば上記のパターン1~3も全て、この「テスト患者」で試してみてわかったこと。実際、電子カルテなら当然自動算定できると思ったものが出来ないこともあったりするので、まずは色々な実例を試し入力してみましょう。
(1.年齢 2.保険 3.時間等 )これらを変えて試してみるのがお勧めです。
③業者を活用する
電子カルテのことはその業者に聞くのが一番。マニュアルを見ればわかるようなことでも、私は疑問に思ったらすぐに電話で確認することにしています。質問するのに費用もかかりませんし、確実な答えが返ってくるはず。その電話でのやりとりは、すべて「電子カルテノート」に記録をとります。電子カルテノートは、50音中に整理しておき、いつでもだれでも見れるよう、書き足せるようにし、院内に設置しましょう。自分が理解したと思っていることも、わからないスタッフはいるものです。みんなで共有することが大切です。
まとめ
電子カルテを知り尽くすためには、とにかく触って触って触りまくること。もちろん、実患者でミスがあっては困りますが、テスト患者などを利用すればそれほど恐れることもありません。余計なことをして失敗しては・・・などと恐れず、仮に何か失敗しても業者に連絡すれば元の形に復元してくれます。失敗は成功の母。色々やってこそ身につくものです。あとは、大したことでなくても、記録をとること。自分なりの電子カルテノートを作ることが肝心です。絶対に後々役に立ちますよ。
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