患者の了承なしの家族のみの来院、どうしてますか
事例1
事例2
認知症の患者様です。いつもおひとりで受診されます。「今度、家族の方とも話をしたいので、一緒に来てもらえますか?」と再三頼んでも、やはり一人で来られます。どうも家族には認知症であることを知られたくないようです。(認知症なので忘れてしまうのも仕方がありませんが・・・)
そんな時は、こちらから、うまく患者様のご家族の携帯番号等を聞き出したり、それもうまくいかない場合は、行政に介入を依頼します。
その後、行政の介入で離れて暮らす息子さんと連絡を取り、来院していただき、現病状を説明することができました。「認知症がかなりすすんでいること。車の運転は危険なこと。などなど。」離れて暮らしていた息子さんにとっては寝耳に水だったようで、かなり驚かれ、その後治療に家族が係わってくれるようになり、患者様の状態は安定してきました。
事例3
独居の女性です。少し認知症が心配であると来院されました。診察の結果、軽度認知症の診断。毎月、定期的にきちんと模範的に受診されます。薬の飲み忘れもないようです。先日、この患者様の姉と名乗る方から突然電話がありました。「実は、妹のことで家族が困っています。認知症が原因かもしれません。妹とは関係がうまくいっていないので、彼女に内緒で先生にお話を伺いたいのですが、よろしいでしょうか。」と。
事例1と同じく、①家族と言えども、個人情報であること。②本人不在のもとで、情報を伝えるわけにはいかないこと。③家族であるかどうか公的確認が取れていないこと。を理由に、一緒に来院されるようお伝えしました。
この患者様は以前診察の折に、「姉があれこれうるさくて、ストレスになっている。」と話されていたこともあり、たとえ家族という証明があったとしても、患者様の人権を尊重し、家族と言えども本人不在の場での診察は不適当と判断しました。
「その後は家族でまず話をします。」と電話をきられました。どういう結論になったのか。現在進行形の事例のため、今はお伝えできません。
まとめ
病気になると家族の協力は不可欠です。しかしながら、家族の関係は他人からは推し量ることはできません。様々な角度から患者様の現在おかれている状況を的確に判断することが必要です。事務として出来ることは、来院されるときの患者様の状況(付き添いはいるか。家族の関係性はどんな様子か。仲がいいのか。険悪なのか。)を観察し、スタッフ全員と共有することが必要です。出来れば本人のみならず、家族の連絡先も聞き取り、カルテに記載するなどしておくと後々とても役に立ちます。