医師事務作業補助者という仕事 その1
私が医師事務作業補助者になった訳
実は、私の本業は医師事務作業補助者(ドクターズクラーク)です。約5年前に某病院に勤めていた頃、(当時私は入院係でしたが)上司の命により、某病院初のドクタークラークに任命されました。新しく電子カルテが導入されるに当たって、割と年齢層の高いドクターが多いこともあって、パソコン操作に富んだ事務員が必要になった故です。そろそろ入院の仕事にも飽きがきていたし、パソコン操作も嫌いな方ではなかったので、喜んでその仕事を引き受けました。しかし、それからが大変でした。
医師事務作業補助者のお仕事って?
2008年、厚生労働省は病院勤務の事務負担軽減を緊急課題とし、ドクターの事務作業を補助する職員の配置を評価の対象としました。これまでドクターが行っていた診断書などの文書作成、処方箋の作成、検査の予約等をドクターの指示のもとで、ドクターに代わって行います。ドクターが事務処理の軽減が軽くなった分、患者さんと接する時間がより長くもてることが利点あり、医療現場の質向上に貢献するのが目的です。
(主な事務作業 診断書の作成、処方箋の作成、検査・手術の予約、入院手続きの説明、紹介状の作成、電子カルテの入力、検査、処方のオーダー、検査結果の出力等です。)
医師事務作業補助体制加算(診療点数早見表より抜粋)
A207-2 医師事務作業補助体制加算(入院初日)
- イ) 15対1補助体制加算870点
- ロ) 20対1補助体制加算658点
- ハ) 25対1補助体制加算530点
- ニ) 30対1補助体制加算445点
- ホ) 40対1補助体制加算355点
- ヘ) 50対1補助体制加算275点
- ト) 75対1補助体制加算195点
- チ) 100対1補助体制加算148点
- イ) 15対1補助体制加算810点
- ロ) 20対1補助体制加算610点
- ハ) 25対1補助体制加算490点
- ニ) 30対1補助体制加算410点
- ホ) 40対1補助体制加算330点
- ヘ) 50対1補助体制加算255点
- ト) 75対1補助体制加算180点
- チ) 100対1補助体制加算138点
注
注 病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善を図るための医師事務作業の補助の体制その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして 地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、医師事務作業補助 体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、当該基準 に係る区分に従い、入院初日に限り所定点数に加算する。
通知
(1) 医師事務作業補助体制加算は、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に対する体制を 確保することを目的として、医師、医療関係職員、事務職員等との間での業務の役割分担 を推進し、医師の事務作業を補助する専従者(以下「医師事務作業補助者」という。)を 配置している体制を評価するものである。
(2) 医師事務作業補助体制加算は、当該患者の入院初日に限り算定する。なお、ここでいう 入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入 院の初日は算定できない。
(3) 医師事務作業補助者の業務は、医師(歯科医師を含む。)の指示の下に、診断書などの 文書作成補助、診療記録への代行入力、医療の質の向上に資する事務作業(診療に関する データ整理、院内がん登録等の統計・調査、医師の教育や臨床研修のカンファレンスのた めの準備作業等)並びに行政上の業務(救急医療情報システムへの入力、感染症サーベイランス事業に係る入力等)への対応に限定するものであること。なお、医師以外の職種の 指示の下に行う業務、診療報酬の請求事務(DPCのコーディングに係る業務を含む。)、 窓口・受付業務、医療機関の経営、運営のためのデータ収集業務、看護業務の補助並びに 物品運搬業務等については医師事務作業補助者の業務としないこと。
(4) 医師事務作業補助者は、院内の医師の業務状況等を勘案して配置することとし、病棟に おける業務以外にも、外来における業務や、医師の指示の下であれば、例えば文書作成業 務専門の部屋等における業務も行うことができる。ただし、医師事務作業補助体制加算1 を算定する場合は、医師事務作業補助者の延べ勤務時間数の8割以上の時間において、医 師事務作業補助の業務が病棟又は外来において行われていること。なお、医師の指示に基 づく診断書作成補助及び診療録の代行入力に限っては、当該保険医療機関内での実施の場 所を問わず、病棟又は外来における医師事務作業補助の業務時間に含めることとする。
上記硬い話になりましたが、要するに医師事務作業補助者になるということは、自分がいるだけで病院のコストに一役を買う!ということです。このことに、なんとも不思議な魅力を感じた訳です。普通の医療事務ではこんなことありえませんものね。あと、医療事務って実は現場の実態がわからなくて困ることが多いんです。でも医師事務作業補助者になると現場で生の医療をみることが出来る。そのことにとても興味を覚えました。
医師事務作業補助者へのへの道
まず業務の傍ら、約2か月、外部講座を受講しました。カリキュラムはざっとこんな感じです。
- 医療保険制度のしくみ
- 受付窓口業務、患者応対ロールプレイング
- 初診料、再診料
- 処置
- リハビリテーション等
- 手術、麻酔
- 検査
- 入院料等
- 投薬
- 注射
- 医学管理等
- 在宅医療
- 画像診断
そして約2か月後・・・めでたく医師事務作業補助者となりました。

次回につづく
次回は、めでたく医師事務作業補助者となり、業務の現実と待遇についてお伝えします。