医師事務作業補助者という仕事 その2
就業形態について


業務内容について
まとめ

病院組織における医師事務作業補助者の立ち位置・特徴
医師事務作業補助者は、医師の指示のもとで仕事をします。よって医師がいわゆる上司になります。医師の行動を読み、スムーズな診療のために、自分がどう動けばよいのかを常に頭に入れて行動する必要があります。医師事務作業補助者として最も重要なのは、コミュニケーション力。これは医師事務作業補助者の業務がかなり多くの職種と接点をもつものだからです。例えば医師が救急搬送をしてきた患者様に処置を施している間、電子カルテを代行入力の傍ら、医師の指示で検査技師に連絡をいれ、検査のオーダーを入れたり、入院になった場合など、病棟の看護師や放射線部門、医事課など連絡確認することは当然に発生します。ですので、これらの職種と円滑に業務を進めていくには普段からのコミュニケーション力が極めて重要になります。
また、病院組織は縦割り社会ですので、その隙間をつなぐという役目も医師事務作業補助者にはあります。従来、このような立ち位置の職種は病院内にはありませんでしたので、これが最大の特徴かもしれません。
今後の課題
①人材育成について
医師の代行業務、医師事務作業補助者に求められる資質は、学習意欲とコミュニケーション力。その一言につきます。挨拶、言葉遣い、人としての道徳心。それらが自然に身についていることが当然と言えば当然ですが、絶対必須条件です。医師をリーダーとすると、それをバックアップする縁の下の力持ち。空気のようであり、且つ無くてはならない存在。舞台で言えば黒子のような、政府で言えば官房長官のような。そして、自分が主役ではないが、そのことに喜びを見いだせる人。それが理想です。業務の範囲を自分の学習により広げていき、医師や看護師など医療専門職の負担軽減・効率化を図れることが重要ですね。
医師事務作業補助者の勤務環境の整備、教育体制の構築を目的として、2011年に日本医師事務作業補助研究会(NPO法人)が設立されています。
②守秘義務について
医師事務作業補助者はいつも診療記録にかかわることが出来る立場にいます。医師と近い位置にいるため、患者様との距離も近く、他の医療事務員以上に、情報に溢れた職場です。守秘義務に関してはもちろん研修でも十分学習するものですが、自らを医療従事者としての自覚を強く持って、職業倫理を守らなければなりません。秘密の漏えいにより病院が多大な損害賠償を命ぜられることもあるのです。
③環境整備
(人間関係)医師事務作業補助者は医師との信頼関係が基本です。医師はいわゆる若い時から勉強のよく出来た、知識に溢れた人ばかりです。その懐に飛び込み信頼を得るには、ある程度医師と機微に富んだ会話が出来なくてはなりません。医療に関する基本的知識が少ないことを言い訳にせず、医療の領域も学んでいける環境を整えて欲しいと思います。
(電子カルテ)電子カルテの代行入力の場合、医師と医師事務作業補助者がそれぞれ専用端末を使用し、1つの患者カルテを操作でき、リアルタイムに入力できることがシステムを確立することが必要です。
私が以前従事した病院では、医師と医師事務作業補助者がそれぞれ専用端末を使用していたものの、同時に1つの患者カルテを操作できず、医師がカルテを閉じてから、あとから時間差で入力をするというものでした。
現在の病院では、同じく医師と医師事務作業補助者がそれぞれ専用端末を使用し、両者ともリアルタイムで入力が出来るものの、結局は1つのパソコンを2つのマウスで動かしているのに過ぎず、(両者のカーソルは同時に動くので、1つのパソコンを二人で奪い合う感じでしょうか)結局は医師が入力をしている間は、こちらは使用することが出来ません。
それぞれの診療体制に即した複数の端末を準備する環境が必要でしょう。