公安委員会からの手紙

最近、公安委員会からの書類をもった高齢者の方が突然病院を訪れることが多くなりました。聞くと違反もしくは、更新時の検査の認知症疑いで、診察を受けるよう警察から指導があったとのこと。一人で来院される方、家族を伴って来院される方と様々ですが、どの方も不安な面持ちで来られます。私の同居している義父母も既に75歳を過ぎていますので、他人事ではありません。


道路交通法改正


2017年3月12日に道路交通法が改正になり、75歳以上の高齢ドライバーが認知症と診断されると、免許証は停止または取り消しされることとなりました。認知症になると、身体機能と認知機能が低下し、運転のような複雑な動作を行う時に、事故を起こす可能性が高くなるからです。昨今、高齢ドライバーの自動車事故が急増しているのも事実だそうです。

高速道路の逆走の約7割が65歳以上で、約1割が認知症の疑いとのデータもあります。


免許更新時の手続きについて


道路交通法の改正と共に、70歳以上の自動車免許の更新手続きも改正されました。

70歳以上~75歳未満の方には、以下のような2時間の講習を受けることになっています。


  • 運転免許適正検査(30分)

  • 双方向型講義(30分)

  • 実車指導(60分) 





75歳以上の方には、約30分の認知機能検査が必要です。


  • (認知機能が低下している恐れのある方)75歳未満の方と同じ講習を受けて免許更新

  • (認知機能低下の恐れがある方)実車指導と個別指導の計3時間の「高度化講習」を受けて免許更新

  • (認知症の恐れがある方)後日臨時適正検査または医師の診断が必要。認知症の診断の場合は免許停止、または取り消し。診断結果に問題がなければ、実車指導と個別指導の計3時間の「高度化講習」を受けて免許更新





その他特定の違反行為(信号無視、横断禁止等)があった方も上記のような認知機能検査が臨時で行われる流れになっています。




病院での検査


公安委員会からの書類をもって来られる方は、当院のかかりつけの方は勿論ですが、初診の患者様も多く見受けられます。聞くと、公安委員会から近くの「認知症専門医」ということで当院を紹介されたようです。直接、かかりつけ医に相談をし、かかりつけ医からの紹介状を持って来られる方もいらっしゃいます。

当院では認知症検査には、診断には時間と多くの検査が必要ですので、まずは普通の外来時間ではなく、認知症の方の特別外来を予約して頂いています。

詳しくはこちらをご覧下さい➡認知症の検査について


診断後は、公安委員会の書類を医師が記載し、再度警察に行っていただく流れになっています。明らかな認知症のある方には免許自主返納をお勧めしたり、診断書を公安委員会に再度持っていき、本人に自覚を促すべく再検査の上、免許停止になる方が多いようです。




免許停止になるということ


私の住んでいる地域はいわゆる田舎ですので、車がないと生活が出来ません。高齢者もそれは同じで、車は生活の一部になっています。車を取り上げられた途端、何もすることが無くなって、却って認知症が進む可能性も否定出来ません。都市に住んでいる方でしたら、電車やバスなど当たり前のように利用でき、それほど不便を感じずに手放すことが出来るかもしれませんが、地方では、車イコール生活ですので、高齢者にとっては大きな問題です。

しかし、高齢者の免許停止、認知症をきっかけに、離れていた家族同士が協力して、物事が解決していくこともあります。私も当院の医師の診察を事務という立場で拝見し、最初、非協力的・無理解であった家族が、親の加齢に初めて気付き動揺し、時には家族同士で喧嘩しながらも、免許停止後の親の生活を支える方向に動き出されるのを、「家族っていいな」と思うことがあります。

免許停止を後ろ向きに捉えず、免許停止になることによって、何か他の生きがいをみつけられる社会づくりが大切と考えます。私の住んでいる県では、免許返納者へ以下のような特典が受けらるそうです。



  • バス乗車運賃割引(路線バス半額)

  • タクシー乗車運賃割引(タクシー乗車運賃の1割引)

  • 鉄道運賃割引(特典付き回数乗車券など)

  • 宿泊・温泉入浴割引(施設によって違いはありますが、入浴料半額など)

  • 商品・施設等割引(ドラッグストア店舗商品5%引きなど)




  • 運転経歴証明書の発行(身分証明書として使用できます)



まだまだ、この程度では、車を運転していた頃に比べたらメリットが少なく感じますよね。今後もっとよいサービスが免許返納者には提供されるようになって欲しいものです。


まとめ


私の実家の父は、一人暮らしのため、70歳を機に免許を自主返納しました。最初はとても不便で腹が立ったようですが、車に乗らない分、公共交通機関を利用する他になるべく歩いて行動することにしたようです。生活のスピードは格段に落ちますが、移動に時間が取られる分、公共機関の時間を考えるために頭をよく使うようになり、歩くことが増えて健康にもなり、車生活では見えなかったもの、手に入れられなかったものを得られたと、免許返納後しばらくして連絡がありました。


「娘たちから無理やり免許を返納しろと言われて腹が立ったこともあったが、今では良かったと思っている。歩くことが増えて以前より元気になったし、血液検査の値もよくなった。ウォーキングの途中に寄る喫茶店で友達も大勢できて、毎日おしゃべりが楽しいよ。」


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