訪問診療料 同一患家 同一建物居住者の場合
毎週土曜日は、事務スタッフのミニ診療報酬学習会を開いています。私が議題の資料を配布し、それについて理解を深めるというもの。
本日の資料は、「同一建物居住者」「同一患家」。わずか10分程度の学習会でしたが、久しぶりに活気のあるものでした。特に若いスタッフ達が疑問を持って意見をどしどし出してくれて、なんとも頼もしい。一番年配の私も頑張らなくては!と、本日のブログです。
同一患家とは(訪問診療の場合)
同一患家とは、複数の患者が同居する同一世帯等をいいます。一戸建て住宅や有料老人ホーム等でも1世帯のみの場合は「同一患家」になります。
同一日に同一患家のみ(マドレーヌ家の二人)を訪問診療する場合

ここは、2階にマドレーヌ一家が住んでいます。2人は家族で、マドレーヌ(女の子)とジュヌビエーブ(犬)の2人世帯です。
医師が2人を訪問するとしたら・・・
- マドレーヌさんに
在宅患者訪問診療料1 833点
- ジュヌビエーブさんに
再診料 72点
同一日に同一患家(マドレーヌ家の2人)と別世帯の1人(ダッフィー)を訪問診療する場合

医師が3人を訪問診療するとしたら・・・
(2階)
- マドレーヌさん(女の子)に
在宅患者訪問診療料2 203点
- ジュヌビエーブさん(犬)に
在宅患者訪問診療料2 203点
(1階)
- ダッフィーさんに
在宅患者訪問診療料2 203点
(「同一患家」の規定にかかわらず、複数世帯の場合は訪問診療を行った患者全員が「同一建物居住者」となります。)
同一建物居住者とは
「同一建物居住者」の扱いとなる場合
同一日に同一の建物に居住する複数の患者(別世帯)を訪問診療する場合
ここでは、2階にマドレーヌさん、1階にくまさん(それぞれ別世帯)が住んでいます。
医師が2人(別世帯)を訪問診療するとしたら・・・
- マドレーヌさんに
在宅患者訪問診療料2 203点
- くまさんに
在宅患者訪問診療料2 203点
「同一建物居住者」の扱いとなる場合
同一日に同一の建物に居住する複数の患者(別世帯)を訪問診療する場合(但し、一人が末期がんの診断後、訪問診療を始めてから60日以内の患者)

ここでは、2階にマドレーヌさん、1階にくまさん(それぞれ別世帯)が住んでいます。くまさんは末期がんの診断後、訪問診療を始めてから60日以内の患者です。
医師が2人(別世帯)を訪問診療するとしたら・・・
- マドレーヌさんに
在宅患者訪問診療料1 833点
- くまさんに
在宅患者訪問診療料1 833点
①往診をした患者②末期悪性腫瘍で訪問診療開始60日以内の患者、③死亡日から遡って30日以内の患者は、同一建物居住者訪問診療の患者数に数えない
「同一建物居住者」と「同一建物居住者以外」が混在する場合
同一日に同一患家(2人)と別世帯の1人を訪問診療(但し、一人は末期がんの診断後、訪問診療を始めてから60日以内の患者
ここでは、2階にマドレーヌさんと同一世帯のエミリーさんが住んでいます。エミリーさんは末期がんの診断後、訪問診療を始めてから60日以内の患者です。1階にはスナフキンさんが住んでいます。
医師が3人(別世帯)を訪問診療するとしたら・・・
(2階)
- マドレーヌさんに
在宅患者訪問診療料2 203点
- エミリーさんに
在宅患者訪問診療料1 833点
(1階)
- スナフキンさんに
在宅患者訪問診療料2 203点
診療点数早見表に分かりやすい算定事例が載っています。(医学通信社 診療点数早見表 2016年4月版 P278 在宅医療より抜粋) 参考にどうぞ
まとめ
スタッフ全員で一つの課題を持って、算定を話し合ってみると、思わぬところで理解の違いに気付くことがあります。
最初は何故、がん患者さんがいる場合、同じマンション内のマドレーヌさんもくまさんも高い点数833点なのかわからないスタッフもいたのですが、
①往診をした患者②末期悪性腫瘍で訪問診療開始60日以内の患者、③死亡日から遡って30日以内の患者は、同一建物居住者訪問診療の患者数に数えないの定義がわかると全員が理解できました。大事なところは小さく書いてあるもので、わざとややこしくしているのかと思うほど。次のテーマはまだ当院では経験がありませんが、③死亡日から遡って30日以内の患者がいる場合、レセプトは一旦提出して返戻しなおすの?という疑問。また調べたら報告したいと思います。
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