インフルエンザワクチン2017
10月に入り、インフルエンザワクチン接種の季節がやってきました。当院でも例年通り、忙しく接種が始まっています。・・・と言いたいところなんですが、今年は少し違います。
今年はインフルエンザワクチンが足りない!のです。
厚生労働省からも今年のワクチン製造量約2528万本は昨年の使用量2642万本を下回るとのこと。「13歳以上の人は1回接種が原則」と自治体に2回接種を控える通知がありました。
また「今期のワクチンに使用する株が製造過程で変更になり、最終的な株の決定がずれ込んだこともあり、各メーカーの製造開始が遅くなっている」と、噂では聞いていましたが、実際に医薬品卸売業者からも「今年はまとめて入荷出来ません。なんとか例年通りの本数は確保したいのですが、次の入荷がいつで何本とは今時点ではお約束できません。」とのこと。
ということで、末端の現場ではそれに対処するしかありません。去年まではいつでも打ちたいと申し出た方に、その場で接種していたのですが、今年からは完全予約制にすることにしました。
ワクチンって誰が作ってるの?
実は日本では、以下の株式会社、財団法人がワクチン開発・生産を行っています。
- 北里第一三共ワクチン株式会社
- 武田薬品工業株式会社
- 化血研(一般財団法人化学及血清療法研究所)
- 阪大微研会(一般法人阪大微生物病研究会)
- デンカ生研株式会社
- 日本ビーシージー製造株式会社
要するに製薬会社がこぞって作っているのではなく、この限定6社のみが日本ではワクチンを製造しているということです。ワクチンの開発には数々の臨床試験が必要で長い時間がかかり、費用も前臨床試験まで10~20億円、その後市販されるまで550~1100億円かかるそうで、相当な財政基盤が必要とされます。これでは採算が合わないと中々他社が踏み込めませんよね。
ワクチンはどこで買えるの?
「ワクチンを売ってください。」と個人が薬局で買うことは勿論できません。
ワクチンも含め医薬品の販売は、厚労省に許可をもらった、医薬品卸売販売業者が売ることができます。
- メディセオ
- 岡野薬品
- エバルス
- ケーエスケー
- スズケン 等多数
医療機関がそれらの卸売業者と取引をし、購入をする仕組みになっています。
ワクチンの株は誰が決めるの?
インフルエンザワクチンの今年の株の決定は以下のように行われます。
- 厚生労働省健康局長が国立感染症研究所(感染研)にインフルエンザワクチン製造株の検討を依頼
- 感染研が「インフルエンザワクチン株選定のための検討会議」を開催
- 議論の結果、製造株を選定し、健康局長に回答
- 健康局長が決定の通知
今年のワクチンは効かない?
今年はワクチン不足だけではなく、もしかしたら、ワクチンそのものが効きにくいという可能性もあるかもとのこと。ワクチン株と流行が予想される株との間で抗原性の一致度が低いというハンディを背負っているらしいです。
難しいことはわかりませんが、医療現場としてはインフルエンザにかかる人が増え、患者が押し寄せてくるかもということです。
例年にも増して、インフルエンザ患者来院時マニュアルを充実しておかなくてはと思います。
まとめ
インフルエンザらしき患者様が来院された場合のシュミレーションは出来ていますか?
当院では、車で来院される方が殆どなので以下のようにルールを決めています。
- 車で待機してもらう(徒歩の方は院内の小部屋で待機してもらう)
- インフルエンザ検査を医師が待機中の車(院内小部屋)に赴いて、検査をする
- 検査結果陽性の場合はそのまま車内(院内小部屋)で待機してもらい、医師が陽性の事実を伝え、投薬会計共、車内(院内小部屋)で済ます。
- 検査結果陰性の場合は、看護師が車内(院内小部屋)に赴き、一般患者様の待合室に移動してもらい、3同様にその後の診察、投薬、会計の流れとする。
まずはスタッフがかからないことを祈りつつ、いざ、インフルエンザ支度です!
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