患者数が激変する日
芒種
- 芒種とは・・・「稲や麦など穂が出る穀物の種を蒔くという意味で、この頃は種まきを始め農家の忙しくなる時期」とのこと
「風が吹けば桶屋が儲かる」の理論
〝風が吹くと土ぼこりが立って、目に入り盲人が増え、盲人は三味線で生計を立てるから三味線の猫の皮の需要が増え、猫が減るとねずみが増えて、ねずみが桶をかじるから桶屋が儲かる”
昔、教科書で習いましたっけ。大正生まれのおばあちゃんから聞いたんでしたっけ。
時は、「芒種」。日本中のあらゆる地域で、多少時期が前後するものの、田植えが行われる頃です。田んぼに水を張る田植えの時期は、「あー。弥生時代から日本人はこうやって稲作で生きて来たんだなあ~。とつくづく田植えに日本人のDNAを感じます。水を張った田んぼに湿った風。カエルの鳴き声に用水路の水の音。私の診療所の地域でもまさに今が「田植えの時期」。田植え真っ最中の診療所にも今、「風が吹けば桶屋が儲かる」と似たようなことが起きています。梅雨の時期は、農民が田植えに忙しく、忙しいから出かけられない。出かけられないから病院すら行けない。ということで、病院の患者が激変するのです。
患者数は地域の行事で決まる
実は患者数が減るのは田植えだけではありません。稲刈りもしかり、お盆も祭りもしかり。その逆に、これらの行事が終わると、その行事で疲れて体調を崩した患者がどっと押し寄せるのも恒例です。冬はインフルエンザ患者が押し寄せるし、年度末は特定健診を年度内に受けようとする人で溢れます。最近は市役所から肺炎球菌ワクチンのお知らせが65歳以上の方に郵送されたのでしょう。毎日、肺炎球菌ワクチンの問い合わせが相次いでいます。
つまり、患者数は年間のその地域地域の行事毎によってかなり予想がつくということ。「この祭りの前はスタッフを減らして、祭り後にスタッフを増やそう。インフルエンザワクチンの無料接種のお知らせが広報に出たから、問い合わせに備えて、今年度のインフルエンザパンフを作ろう。」なんてこともありな訳ですね。
まとめ

町の診療所は、その町民と共に歩んでいます。田植え、稲刈りはいつなのか。近隣の神社仏閣のお祭りはいつなのか。近所の小学校の運動会はいつなのか。地域のバスは何時に診療所の前に止まるのか、そんなことも知っておかなくてはなりません。「12時の最終バスに乗りたいから早く診察しておくれ。」なんてことが日常茶飯事ですからね。