お盆休み後は秋の予感
6日間の長いお盆休みも終わり、今日から診察が開始されました。長期間の休み明けとあって、覚悟はしていたものの、押し寄せてくる患者様の対応に追われた一日でした。午前診と午後診の休みもないくらいで、やっと終わって外に出てみると、びっくりするほど涼しい秋風が。あんなに暑かった夏は一体どこへ行ってしまったのでしょう。朝夕はめっきり過ごしやすくなって驚きですね。
電話での問い合わせ
来院された患者様の対応は勿論ですが、休み明けは電話の問い合わせも多くなる傾向にあります。普段から患者様やその家族、ケアマネージャーや訪問看護師、製薬会社のMRさんなど、診察時間内は多くの電話がかかってきます。中には、不動産の営業など診療には関係のない電話もかかって来たりします。電話対応に事務員が一人取られると、その間の事務が滞ってしまい、待っている患者様に迷惑がかかるので、効率よく電話を捌くのも医療事務員の腕の見せ所です。
「これは医師に問い合わせが必要だな。」「この場合は看護師さんでもいいかな。」「会計のことだから私が答えておこう。」「これは明らかにマンションの営業だから適当にあしらっておこう。」などなど咄嗟の判断でシャキシャキと電話対応するのは中々難しいものです。当院では、電話で対応した場合、その内容を必ず後からメモで院長に伝えるのと同時に、患者様の情報の場合はカルテに記載するようにしています。
中には、医師と病気のことで話がしたいという案件の場合は、電話再診という形で、診察の合間に医師に取り次ぐこともあります。そういう場合は、電話再診料は、後日徴収することにしています。以前の記事も参考にどうぞ→電話再診
一枚上手の患者様
今日もある一件の電話がかかって来ました。
患者様:「あの~。この前処方された薬を飲んでから軟便になりまして、どうしたらよいでしょうか。」
事務員:カルテを確認してから「少々お待ち下さい。先生に確認して参ります。」先生に確認した後、「軟便になるようなら、薬を中止してもらってもいいですが、詳しく診察しないと分からないので、診察に御越し頂けますか?」
患者様:「でも、診察すると待ち時間長いでしょう。お金もかかりますよね。」
事務員:「まあ、そうですけど、ご心配なら診察を受けて、先生と相談してもらうのが一番ですよ。電話再診という形で、医師と話をされますか?」
患者様:「先生と電話で話をするとお金がかかるんですよね。それもねえ~。やっぱり薬をやめた方がいいんでしょうか。軟便なんですよ~」
事務員:「私は事務なので、医療的なことは答えられません。診療に来て頂くのが一番なんですけど。」
患者様:「そうですよね。でもお金がかかるのも困るし。薬止めた方がいいかしらね?」
とまあ、こんな調子。いつまでたっても電話を切る気配もなく、電話対応に当たったスタッフも困り顔。どうも薬のことは心配だけど、わざわざ診察という形で来院するつもりもないし、お金もかかるので、出来れば医師に電話を替わらずにアドバイスをして欲しいといった調子でした。
実はこの患者様、こういった対応は初めてのことではなく常習の方です。体のことが心配ですぐに色々な質問を電話でかけて来られるのですが、事務員が先生に問い合わせをして、返答するのを知っているので(この場合は無料なことも知っていて)伝言でのアドバイスが欲しいのです。こういう場合、医療のことは、事務員からは答えられないので、医師に直接聞いてもらうよう患者様には常にお答えしているのですが、この方のように一枚上手の方もいらっしゃっいます。
電話対応の難しさ
基本的に医師と医療的な話をした場合は、再診料という形でコストを頂くことが出来ます。しかし、医療相談のような質問で看護師が電話対応をしても一円にもなりません。事務員が対応することはまずありませんが、患者様がどういった解決策を希望していらっしゃるかを見極めて取り次ぐまでにどんなに時間を取られても勿論一円にもなりません。
あっさりと「電話での対応は時間がかかるので、診察に御越し下さい。」と単純に話を切ってしまうと、後日実際に来院された場合、当院の医師では対応出来ない案件である場合もあって、患者様に迷惑をかける場合もあり、やはり事前の電話での聞き取りはとても重要になってきます。スムーズに電話対応をするためには、効率よく患者様の話を聞き取る準備が必要です。
- 患者様の名前、生年月日等の確認
- カルテの内容を確認し、最近の来院歴を確認する
- 患者様の訴えをまず聞く
- 緊急性の有り無しの確認
- 1~4の内容を分かりやすく、素早くメモにし、医師に確認
- 医師へ問い合せ
- 返答する
電話対応はなんといっても、経験がものを言います。電話を怖がらずにドンドン積極的に出て、慣れていきましょう。私も以前、医療事務を始めたばかりの頃、実は、引っ越ししてきたばかりで、地域の方言にまだ慣れていなかったこともあり、患者様の訴えが全くわからず、電話が嫌いで仕方なかったものです。
- 「ハメに噛まれたんやけどなあ~。」(心の声:ハメって!何なの?)
- 「きんのう、あだけて腕が痛いんやけどなあ~。べっちょないかいのう」(心の声:きんのう?あだける?べっちょない?ってなんのこと?)
こんな調子で泣きそうでした。今では笑い話ですが、ちなみにハメとはマムシのこと。きんのとは昨日のこと。あだけては転んでのこと。べっちょないは大丈夫のことです。当時は本当に言っている意味や発音に慣れるのに必死で、診療報酬を覚える以上に大変でした。
まとめ
最近は、家の電話もあまり使用されなくなって、携帯電話が当たり前になってきました。昔(私の小さい頃)は、友達に電話をかけたりするのも、当然家の電話だけでしたので、まず大抵はそこの家のお母さんやお父さんが電話に出るので、「△△ちゃんと同じクラスの○○と申します。△△ちゃん、いらっしゃいますか。」などの丁寧な電話対応は子供でも必要なことでした。親が最初に出るのが嫌で、「何時にかけるからね。」なんて学校で約束したりして。親の方も、電話での対応は友達としての第一印象を決める大事な要素でしたので、電話が終わったあとに「△△ちゃん、しっかりした子ね~。いい友達ね。」なんて一言値踏みされたりして。携帯電話で育っていく今の子供たちは、そういう訓練が出来ていないので、社会に出てからの方が大変かもしれません。
我が家の息子曰く、「社会人になりたての頃、敬語の使い方が下手で、電話応対を先輩や上司に聞かれてよく叱られた。しばらくは電話をするのが怖くて会社に行きたくなかった。」とのことでした。そういえば、親の私もそこまで教えたことはなかったなあ。と反省しきり。敬語や電話応対など、自然と身についているものと思っていたのですが、息子にとっては社会人になって初めての経験だったのでしょう。たかが電話されど、電話です。
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