身体障害者手帳の手続き
- 「身障持ってるんですけど使えますか?・・・」時々、窓口で、患者様から聞かれることがあります。身体障害者手帳は、医療機関では使用できませんが、どうも重度心身障害者受給医療券等と混同されているようです。
- 「私、難病だから、身障手続きしたいんだけど・・・。」確かに難病の方は日々生活が大変ですが、身障の申請をしたところで、全員が認められるわけではありません。等級が低いと大してメリットもありませんし、まず手続きそのものの診断書料金(自費)の方が高い。なんてこともあります。
医療機関で働くまで私も「身体障害者手帳」が一体なんなのか詳しく知りませんでした。電車代とかバス代が安くなるのかなあ~。税金も免除とかあるのかも。医療費も安くなるのかも。」その程度の知識でした。ですので、多くの患者様が勘違いされるのも当たり前です。今日は医療機関側からみた、身体障害者手帳についてまとめてみました。
身体障害者福祉法
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法第15条に基づいて発行されるもので、身体に永続する障害が残る者を「身体障害者障害程度等級表」により1~6級の等級に分けられます。申請者の居住地の都道府県知事が発行し、健常者と同等の生活を送るための最低限必要な援助を受けるために必要な証明書です。
手続きには、申請書や医師の診断書・意見書が必要となり、医療機関でもよくみかける書類ですね。受付や医療事務、医師事務作業補助者の方はよく目にするのではないでしょうか。この診断書は自費徴収しても差し支えないとされていて、当院では5000円に設定しています(皆様のところはいくらですか?)なお、診断書の費用を補助している市町村もあります。
ちなみに申請してから1~2か月程度で手帳は交付され、障害の等級が重くまたは軽くなるなど変化があった場合には再認定を実施します。
医療費の助成
身体障害者手帳が交付されると、交通機関の利用料金割引や福祉制度が利用できたり、税金の減免があったり、日常生活用具(義足や杖)などの支給を受けられたりしますが、同時に医療費の助成も受けることが出来ます。
最初にも触れましたが、身障の手帳を交付されたから、といってイコール医療費が全員安くなるわけではありません。医療費の助成を受けるには、医療機関に重度心身障害者医療券(障害者等医療証など地域によって呼び方は違いますが)を申請しなくてはなりません。私は、身障を申請すると、自動的に医療券も交付されると思っていたのですが、必ずしもそうではないようです。先日身障を申請した患者様に医療券の提示を求めたところ、「医療証は、頂けませんでした。」との回答が。詳しく調べてみるとどうも所得制限があるようで、全員に交付という訳ではないようです。各都道府県の事情を調べてみると、対象者の範囲、所得制限、自己負担金、助成方法にも様々な違いがあります。
ちなみに私の住んでいる都道府県の状況を見てみると以下のようでした。
- 対象者の範囲:身体障害者1・2級
- 所得制限:世帯の市町村民税所得割税合計額23.5万円未満
- 自己負担金:外来:1医療機関あたり1日600円(低所得400円)を限度に月2回まで負担、入院:定率1割負担(負担限度月額2,400円(低所得1,600円)。連続して3か月を超える入院の場合、4か月目以降は一部負担金なし
- 助成方法:現物給付
- 入院食事:なし
自分の地域がどのような制限があるかを知っておくことで患者様への対応がスムーズになります。
実際の窓口対応について
身障を持っていると言われた場合、まず医療券を保険証と同時に提示してもらいましょう。そして、正確に保険情報をカルテに入力(記載)し、会計時には医療券の通りに自己負担金を徴収します。(薬局は全て無料です)
受給券の有効期間は、原則1年で、切り替え時には患者様が忘れて来られる場合もあるので注意しましょう。
まとめ
昼過ぎになって、風が強くなって来ました。台風20号が刻一刻と近づいています。お仕事の方もそうでない方も今日は早めに帰宅して、台風に備えましょう。万一に備え、地域の避難場所を確認し、ベランダにある物干竿、植木鉢等が強風で飛ばされないよう室内に取り込んでおいて下さいね。我が家もいつも夏場は外で放りっぱなしの「カメちゃん」を屋内に避難しておきました。
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