カルテ開示で慌てないために
先日、事故で亡くなった患者様のご家族が、カルテ開示を希望されました。地方の小さな診療所でも
3年に1度くらい、こういう出来事が起きます。初めてカルテ開示を希望された折には、全く心準備をしていなかったこともあり、いたく慌てて、カルテ開示について勉強し、書類を揃えたのを思い出し、今回も他のスタッフと「あーだ、こーだ。」と言いながらカルテ開示の準備をした次第です。
これではいかん!ということで、カルテ開示についての書類一式とマニュアルをこの度、作成することにしました。
カルテは誰に開示できるの?
そもそもカルテ(診療録)は患者様本人から希望があった場合、原則応じなければなりません。「診療記録」とは診療の過程で、患者の身体状況、病状、治療等について、医療従事者が知りえた情報のことです。「診療記録」とは、カルテ、処方箋、手術記録、看護師記録、検査所見、画像、紹介状、サマリー等の記録全てを言います。
原則、カルテ開示は、患者本人に行うものですが、以下の場合は患者以外でも開示を求めることが出来ます。
- 患者に法定代理人がいる場合の、法定代理人。ただし、満15歳以上の未成年者については、疾病の内容によっては患者本人のみの請求を認めることができる
- 診療契約に関する代理権が付与されている任意後見人
- 患者本人から代理権を与えられた親族及びこれに準ずるもの
- 患者が成人で判断能力に疑義がある場合は、現実に患者の世話をしている親族及びこれに準ずる者
- 患者が死亡している場合には、その遺族(患者の配偶者、子、父母及びこれに準ずる者)
カルテ開示時の必要書類
- 診療録の開示請求書
- 開示請求者本人確認証明書※1
- 患者様の代理人であることの証明書※2
- 患者様自書による診療録開示請求委任状
- 患者様本人による開示請求の場合は・・・(1 2が必要)
- それ以外(法定代理人、同居・同生計親族の場合)・・・(1 2 3若しくは4が必要)
※1(本人確認証明書)とは(有効期限内の原本)
- 写真付き証明書をお持ちの方は、いずれか1点(マイナンバー、運転免許書、パスポート、身体障害者手帳)など
- 写真付き証明書をお持ちでない方は、いずれか2点(健康保険被保険者証、国民健康保険被保険者証、後期高齢者医療費保険者証、厚生年金保険年金手帳、国民年金手帳 等)
※2(代理人であることの証明書)(原本)
- 法定代理人である事の証明書(親権者の場合は、戸籍謄本(抄本)もしくは住民票)(成年後見人の場合は、登記事項の証明書、その他法定代理人である事を示した証明書)
- 主介護者(同居親族 生計を一にする親族)であることの証明書(戸籍謄本(抄本)もしくは住民票
ご遺族の場合
戸籍謄本、住民票(除票)、死亡診断書のいずれか原本
カルテ開示の費用
こちらは病院の自費であるため、いくらとは決められないものですが、当院では、カルテ1枚に対し、10円、つまりコピー代として1枚10円で開示しています。画像データはCD-ROM1枚につき2100円を頂いています。
まとめ
カルテ開示は患者様から請求があった場合、速やかに開示する必要がありますが、まず、プライバシーの保護、及び診療上支障が生じないことを確認した上で慎重に行う必要があります。まず、患者様からカルテ開示を相談されたら、話をよく聞き、上司や院長に相談の上、慎重に行う必要があります。それというのも、カルテ開示を請求される患者様は何かしらの不満や法的問題を抱えているために開示を請求してくる場合がほとんどだからです。あとで問題にならないように、慎重に書類を揃えて、開示をすることが重要です。
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