医師事務作業補助者の資質
ドクターの隣に座って、カチャカチャとタイピングする医師事務作業補助者。最近では当たり前の光景になってきました。医師の業務を減らして、効率化を図る。そのために誕生した医師事務作業補助者。今後、医療事務がAIに替わり業務が縮小されても、医師事務作業補助者はむしろ今後尚必要とされる仕事かもしれません。
「なぜ?」って。「ただ、医者の言ってることを電子カルに打ち込んでるだけじゃない。今や誰でもパソコンぐらい打てるよ。」そんなこと言う人は、何もわかっていない人です。
医師の記憶の手助けをする
医師事務作業補助者は、医師や患者の言葉をタイピングもしていますが、打ちながら、「この薬は適切か?」「アレルギーは大丈夫か?」「過去の病歴は?」「検査の必要はあるか?」など頭の中でクルクルと考えながら、医師に適切なアドバイスを行う必要もあります。
医師も人間。診察時に長~い患者様からの訴えがあると、全ての訴えを覚えているわけではありません。集中力が途切れてしまうと最初のくだりは忘れてしまうものです。
「あれ?先生、最初に患者さんの訴えた、頭痛の薬のこと忘れてるなあ。」「そろそろ、胃内視鏡の検査を受ける時期だけどなあ。」「以前にこの薬でアレルギーが出たはず。」など医師が忘れていそうな患者の情報を、さりげなく伝える。そんな医師へのささやきも大切な仕事の一つだからです。
医療知識と文章力
それに加え、医師が書かなければならない、様々な書類(診断書、紹介状、入退院証明書、主治医意見書等)をカルテを読み起こして作成する仕事もあります(勿論下書きですが)。それにはカルテを自由に扱える技術、知識はもちろん、患者の病歴、医師や看護師の使う用語、検査画像等の意味もある程度、把握できなければ書けません。もちろん、それを正確に簡潔に文章におこせる力も必要とされます。更に、担当医師の文章の言い回しの癖、好みなども、そっくり真似ることが出来れば、言うことなしなのですが。
人間力
黙ってカチャカチャと機械のように打ち続ける仕事。「患者様を相手にする医療事務より人間力は要らないのでは?」ですって?とんでもない!医師事務作業補助者ほど人間力が必要とされる仕事はありません。
もちろん患者様と直接話をする機会は少ないですが、医師事務作業補助者はまずは担当医師と十分にコミュニケーションが取れなくては、仕事は円滑に運びません。また医師以外にも一緒に仕事をしている看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、医療事務担当者等々。院内のあらゆる人とうまくコミュニケーションが取れていないと、仕事を円滑に進めることは出来ません。
もともと何も資格がなくても採用されやすい医師事務作業補助者。もちろん、通り一遍等の見せかけの32時間以上の研修はありますが、当の本人はわからないことだらけ。医療現場が初めての方も多いものです。医療事務からの転換組ならまだ良いのですが、そうでない場合は本当に大変です。一から現場で勉強するには、その専門家たちに色々と教えてもらうのが一番。相手の懐に入り込んで、色々と教えてもらえる友好な関係を作れる人間力。仕事をスムーズに運ぶには、これが一番大切なのかもしれません。
「おしん」のような耐える人材
人間力が必要なことは、先ほど書きましたが、それに加えて医師事務作業補助者には我慢強さと辛抱強さが要求されます。医師事務作業補助者はを目指す人はまずこの現実を理解しましょう。
- 給料が断然安い(パートやアルバイト扱いが多い)
- 黙って仕事をすることが要求される(おしゃべりは厳禁)
- 人の話を辛抱強く聞かなければならない(患者の話が退屈な時でも、集中して聞く必要あり)
- トイレや水分補給など、生理現象も自分ではタイミングを選べない(医師のトイレタイムや診療の合間に済ませる必要あり)
タイピング力の速さとCtrlキーの重要性
最後に絶対必要なのはこれ!タイピングの速さです。ブラインドタッチは当たり前。一秒でも早く間違いなく文章を打てる技術は医師事務作業補助者にとって必須。早く打てても間違いばかりの文章では意味がありませんから。タイピング技術は練習あるのみ。一に練習、二に練習。→(こちらも参考までにどうぞ)医師事務作業補助者への道
あと必要なのはショートカット技術。パソコンを自由自在に扱うには少なくとも以下の技術は習得しておきましょう。
まず、文字列を選んでから
- Ctrlキー ⊕ C = コピー
- Ctrlキー ⊕ X = カット
- Ctrlキー ⊕ V = ペースト
- Ctrlキー ⊕ O = 半角カタカナに変換
- Ctrlキー ⊕ P = 入力中の文字を全角英字に変換
その他にもよく使う単語は辞書登録しておいたり、読みがわからない漢字はマウスで手書き入力する方法は習得しておきましょう。
まとめ
医師事務作業補助者は今後ますます必要とされる医療事務の仕事と私は考えています。それなのに、医師事務作業補助者の教育体制は未だ不十分な現実。医療事務知識に加え、医療そのものの知識が必要な業務。もっともっと教育体制が整って、身分が保証され、そして給与に大きく反映するそんな医師事務作業補助者の時代が来て欲しいものです。
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