今月のレセプトチェック 甲状腺検査の減点
甲状腺機能低下症の検査 減点


当院のドクターは、甲状腺機能低下症で通院されている患者様に、経過観察のため、数か月に1回、TSHとFT4、FT3の検査をされていました。しかし、必ずと言っていいほど、FT4が減点されて戻ってきます(事由は医学的過剰)。その都度、ドクターと相談の上、再審査請求をしていたのですが、復活するのは2割程度と言ったところでしょうか。その後は、レセプト送信時に摘要欄に症状詳記を記載し、送信するようにしましたが、やはり減点されて戻ってきました。どうしてなのでしょうか。
FT4検査とは
(目的)甲状腺ホルモンの1つであるT4のうち甲状腺ホルモン結合蛋白と結合していない遊離型のみを測定する。生理活性を有するのは遊離型のみであり、TBG増減の影響を受けにくく、病態をよく反映する。甲状腺機能検査としては、TSHとともに第一に選択される項目である。
FT3検査とは
(目的)血中トリヨードサイロニン(T3)はサイロキシン(T4)とともに血中に存在する甲状腺ホルモンで、分子中にヨード」を3原子もつためこの名がある。その大半は血清蛋白と結合しているが、一部は遊離型(FT3)として存在し、遊離型のみ生理活性をもつ。FT3は甲状腺機能の指標として活用される。
(平17.4.25支払基金 最終更新:平26.9.20)より
原則として、T3とFT3、T4とFT4の併施は認められない。T3及びT4、あるいはFT3及びFT4の組み合わせによる併施は認められる(留意事項)まれに、TBG異常症等で、T3・T4とFT3・FT4との間に乖離が見られることがあり、臨床的にそのようなことが想定されT3とFT4、T4とFT4の併施測定の医学的必要性が認められる場合に限り認められる。
上記を見る限り、病名もあるし、ドクターも病院勤めをしていた頃は、認められていたものなので納得いかない!とのことで、再審査することにした次第。病院では認められていた算定が診療所では認められないということがあるのでしょうか。
再審査請求


症状詳記の内容
・患者様が甲状腺機能低下症で経過観察中である
・甲状腺評価をした検査結果:(TSH:129.40μg/ml、FT4:0.42ng/dl、FT3:2.0pg/ml)等のように異常低値である旨を強調
・検査の結果、治療を開始したことに言及
減点された症状詳記と復活した症状詳記の差
はっきりと言えないが、やはり詳記に記載した、検査の値によって認められる場合と、認められない場合があることと結論づけました。しかし、ドクターもその差にまだ納得がいかない様子。しかしながら毎回認められない場合が多いので、最近はTSHとFT4のみ検査を出すようにしてもらっています。
まとめ
今回のような値によって左右されるレセプトは、医事側からは予測できません。はっきりと併施が禁止されているものでもないので、医事で出来得るチェックは、病名の抜けがないか、適した病名であるか程度です。今回のように医学的過剰の事由の減点は、ドクターにお任せするしかないですね。医事としては、減点の傾向をつかんで、ドクターに伝え、次につながるようしたいものです。