認知症は早期診断、早期治療が大切です。
これって認知症?
「うちのおばあちゃん、最近よく財布を盗まれたとか言って探し回り、嫁の私が盗んだって言うんですよ。」
「突然、死んだおじいさんがまだ生きてると言い張り、おじいさんが帰ってくるまで鍵を閉めてはいけないよ。などと、変な事を言うんです。」
「最近、おじいちゃんたら、車をよくぶつけるんですよね。」
「ばあさん、最近、料理を作らなくなってね~。どうも作り方を忘れてしまったみたいで。」
こういう事が続いたら、認知症を疑った方がいいかもしれません。
「あの芸人さん、ほら、誰だったかしら。ギンギラギンの衣装を着て、りんごとパイナップルを持って、歌うあの芸人さん。あっ。もう名前思い出せないわあ。」
これらは、おそらく認知症ではありません。詳しく経緯や、状況を説明できるのは、普通に年相応の健忘症、若しくは注意欠陥によるものです。

どこの病院に行けばいいの?
かかりつけ医がいる場合
まずは、いつもかかっている病院に相談しましょう。かかりつけ医は様々な角度から患者さんを把握しています。かかりつけ医が認知症専門医でなくても、過去の病歴や性格などもある程度把握していることから、より的確な認知症専門医を紹介してもらえるはずです。
かかりつけ医がいない場合
脳外科、精神科、心療内科、神経内科などで診てもらう事が出来ます。またもの忘れ外来という科を持っている病院もあります。分からなければ、お住いの役所に連絡をとって、地域包括センターなどに相談し、的確な病院を教えてもらうのも一手です。
どんな検査があるの?
認知症は外来通院のみで、検査が出来ます。医師は、まず、認知症だと疑われる人に対して診察や問診を行います。普段の様子について本人だけでなく、家族の問診が重要性なので、1人で行かずに家族と共に受診することも大切です。
1.まずは、タッチパネルと呼ばれる簡単な質問形式のパネル操作をしてもらいます。5分程度で終わる簡単な質問をタブレット型端末にタッチして答えていくものです。
?あなたは何歳ですか?
?ここはどこですか?等の簡易なクイズ形式です。
それと共に心電図、レントゲン、血液検査、画像診断(CT)などの検査が行われ、総合的に認知症かどうかが判断されます。
血液検査では、血糖値やコレステロール値など生活習慣病がないか測定し、ビタミン、亜鉛なと、頭に必要な栄養素が充分足りてるかどうか、心電図レントゲンで、他に疾病が隠れていないかなど、詳しい検査を行います。
これは、認知症の発症リスクが高い病変を把握するのが重要と言われているからです。
また画像診断では、CTやMRIなどの脳の状態を検査し、認知症の原因を特定します。
更に詳しく脳の状態を調べるためにSPECT(脳の血流の状態を調べる)検査や、DATスキャン等、認知症に似て非なる病気との鑑別のため、実施している病院もあります。画像診断の結果は、認知症などの診断を行う上で重要な所見となります。
そこで認知症が疑われた場合、認知症と診断する上でもう1つ行われる重要な検査はMMSE簡易認知機能テストやHDS-L長谷川式簡易知能評価スケールなどの机上でのテストです。テストの正答率により認知症がどの程度進行しているかを判断します。👇

認知症と診断されたら。
まずは投薬。残念ながら、現在、認知症を根本的に治すことは出来ませんが、飲まない時より、緩やかに進行を抑えることは出来ます。進行を遅らせたり症状を改善させたりすることで、場合によっては、介護者の負担を大幅に軽減することも可能です。 ですが、薬のせいでかえって症状が悪化してしまうなどの副作用の問題も出てきているので、薬を服用する際には注意も必要です。認知症患者は、薬を服用したことも忘れます。 薬は必ず本人任せにせず、家族や介護するものが充分気をつけてください。

認知症に関する算定に思うこと
認知症のスクリーニングテストとして、長谷川式簡易知能評価スケールやMMSE等が行われると上記で書きましたが、残念なことにこのテストには算定点数がありません。要するに無料なのです。認知症患者様とのテストは思いのほか時間がかかります。実質、15分程の時間と手間が取られるにもかかわらず、無料なのはどうも腑に落ちませんがね。
(臨床心理・神経心理検査に係わる保医発通知より)
改定長谷川式簡易知能評価スケールを用いた検査及び国立精研式認知症スクリーニングテストの費用は、基本診療料に含まれているものであり、別に算定できない。