医療行為は、目に見えないサービスを提供することであり、その行為を後から検証できる唯一の証拠(公的文書)。それが診療録(カルテ)です。
医師事務作業補助者は、医療行為の現場にいて、カルテを正しく記録するのが役目であり、医事課はカルテを正確に読み取り、コストを算定するのが大事な役目です。
1にも2にもカルテを読み取る力が、とても重要。今日はカルテの正しい読み方をみてみましょう。
「診療記録」とは
診療記録とは、診療録・検査所見・処方せん・手術記録・紹介状・看護記録等について作成記録又は保存された書類・画像等の記録のことをいいます。最近は電子カルテが大半を占めてきましたが、基本は紙カルテも電子カルテも同じです。
医療過誤等の訴訟においても、診療記録は証拠として重要な位置づけです。単なるメモではなく、公的な記録であることを心に留めておきましょう。
外来カルテの様式
「様式第一号(-)の1」
①は主に医事課など事務部門で記載するところです。保険者番号・被保険者記号・番号、有効期限は必ず記入します。
受給資格は少なくとも月1回は確認し、変更があれば速やかに訂正します。
②医師が責任をもって記載します。(医師事務作業補助者が代行してもOKです)
⑤1病名1行
・少なくとも1つは傷病名があること
・国際疾患分類(ICD10)等の傷病名を使用すること
・原則日本語で記入
・傷病の部位・範囲・急性・慢性の別を記載
・保険病名の禁止(本来の傷病名では検査投薬等が査定される恐れがあるため、それを避けるために書き足された実態のない病名)
・病名は適宜整理し、開始日、終了日、転帰を必ず記載
⑥2か月以上続く疑い病名は確定病名へ移行又は整理が必要
③医師が記載
④医事課など事務部門で記載
「様式第一号(-)の2」
これは医師事務作業補助者に代行も可(但し、代筆である旨を記載、電子カルテの場合は登録IDなどで判別できるようにしておく)
S:患者の主訴 他覚所見
O:検査、画像の計画、指示 実施内容、結果判定
A:診断根拠
P:治療計画
治療(投薬・注射・リハビリ・処置・手術等)指示、実務内容
患者への説明
その他(文書発行・他院紹介など)
診療報酬請求上の算定要件事項(例:時間外加算、特定疾患指導管理料、診療情報提供料など治療内容の要点を記載)
「様式第一号(-)の3」
・医事課など事務部門で記入。
・症状所見等の記入には利用しない。
まとめ
カルテを正しく記載し、カルテを正しく読み取る力は、医療をつかさどる者の基本です。紙カルテの場合、医師の字体が読みにくかったり、省略して記載してあったりし、医事課でも頭を悩ますところですが、お互いの意思疎通を図って公的文書としてのカルテを正確に記載することが大切です。
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